最新記事
BOOKS

岸谷蘭丸が「内容は当たり前、なのに背中を押された」と評する40万部ベストセラーの正体

2026年1月13日(火)18時00分
酒井理恵 (ライター)

岸谷蘭丸

写真:遠藤宏

海外留学ビジネスは「経済的リスク」だが意味がある

失敗は財産になる、感謝の気持ちを持つ、新しい挑戦のためにリスクを取る――。「言われなくても分かるようなことが多いですが、たぶんそれが一番重要なこと。皆が知っているような、『当たり前のこと』こそが本質であることを気づかせてくれます」と語る。

まったく知らない方程式を学ぶ必要はなく、「本質さえ外さなければ、結果はついてくる」という事実に、背中を押されたという。

なかでも「リスクを取ること」は、岸谷さんの人生において日常そのものだった。

岸谷さんは、中学受験で合格した早稲田実業学校中学校に入学。よほどのことがない限り、黙っていても大学まで進学できるが、10年間も環境が変わらないことに危機感を覚え、高校はアメリカの現地校に留学した。現在は、イタリア・ミラノのボッコーニ大学3年生に在学中だ。

「『止まっている状態は怖い』と感じてしまうんです。楽観的な性格なので、リスクを取っても『なんとかなる』と思っていますし、環境にも恵まれてきたので、心理的安全性が保証されていることも大きいですね」

2024年に海外大学への留学支援サービス「MMBH留学」、同年に海外留学に関する情報プラットフォーム「留パス」を立ち上げたが、「本当に儲からないんですよ」と笑う。

「けれども海外留学の選択肢を世の中に広げることには意味があるし、儲からなくても誰かがやったほうがいい。この経済的なリスクを取れるのは、僕が恵まれた環境に生まれてきたからだと思います。もちろん、地位もお金も欲しいですよ。でも、それよりも大事なのは自己実現なんです」

富裕層を対象にしたサービス提供のほうが、多くの利益を見込めるという。しかし、岸谷さんはそれをしない。なぜなら、裕福な家庭の子どもに海外留学の選択肢が与えられるのはごく自然なことであり、それだと現状の課題が解決できないからだ。

「日本では留学の選択肢はまだ一般的ではありません。学生時代に『納得いかなかった』『もっとこうしたかった』という思いがあり、それを自分たちの手で解決することこそが、今の僕らにとって最大の自己実現なんです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀、インフレ率の一時的鈍化への誤った安心感は禁

ビジネス

アジア航空株下落、イラン攻撃で運航混乱・原油急騰

ビジネス

伊藤忠、ペルシャ湾からの原油と石油製品の出荷に一部

ワールド

イスラエル軍、レバノン各地でヒズボラ攻撃 ベイルー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報復攻撃、民間インフラも対象に
  • 4
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 5
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 6
    【銘柄】「三菱重工業」の株価上昇はどこまで続く...…
  • 7
    【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカ…
  • 8
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 9
    「高市大勝」に中国人が見せた意外な反応
  • 10
    最高指導者ハメネイ師死亡(イラン発表)、トランプ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 7
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中