最新記事
BOOKS

投資に抵抗感のある人が「お金の不安」解消のために取るべき4つの行動

2025年11月9日(日)09時00分
印南敦史(作家、書評家)

自分の価値観を他人に預けていないか

こうした、現代人が陥ってしまいがちな傾向に対する問いかけとして、著者は作家の森博嗣氏の著書『お金の減らし方』内の文章を引いている。


 ちょっと想像してみてもらいたい。もし、写真を撮って人に見せることができないとしたら、それを買うだろうか? それを食べにいくだろうか? その場所へ出かけていくだろうか?
 いや、それならしません、と答える人は、自分が本当にしたいことを見失っているように思われる。自分が満足できるもの、つまり自分にとって価値のあるものに、自分のお金を使っていないことになるからだ。(47〜48ページより)

確かに、「他人に見せられないなら買わない」という発想の根底にあるのは、「それを持っていると他人に知ってほしい」という"歪んだ承認欲求"のように思える。

要するに自分の価値観を他人に預けているわけで、意地の悪い表現を用いるなら"自分がない"ということになるだろう。著者もまた、次のように述べている。


 本当の価値は、自分自身の中にしかない。他人のモノサシや価格のラベルでは測れない。価格はあくまで市場が決めた他人の評価にすぎないのだ。(48ページより)

これは非常に納得できる考え方だ。例えば私は古本屋で本を買うことが多いのだが、魅力を感じる対象はとても偏っている。「装丁が好きだ」とか「眺めているだけで、子どもの頃を思い出せる」といった具合だ。

それらの多くに歴史的な価値があるわけではないし、価格も安い(高いと買わない)。つまり、ただ自分のモノサシで選んでいるにすぎないのだ。

しかし、そんな選択に私はとても納得している。他人がどう感じようが、満足しているのだから関係ないのである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ

ビジネス

中国10月物価統計、PPIは下落幅縮小 CPIプラ

ワールド

フィリピン、大型台風26号接近で10万人避難 30

ワールド

再送-米連邦航空局、MD-11の運航禁止 UPS機
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中