最新記事
BOOKS

投資に抵抗感のある人が「お金の不安」解消のために取るべき4つの行動

2025年11月9日(日)09時00分
印南敦史(作家、書評家)

定価10万円のジャケット「2万円にします」どうする?

ここでは「整理する」の中から、「どうすれば、焦りを生む空気から抜け出せるのだろうか?」という項目に注目してみることにしよう。

まず、ここで著者が指摘しているのは、「人は『みんなと同じ』だと安心するもの」という事実である。だから、「100万部突破ベストセラー」などという宣伝文句に心を動かされてしまうのだ(バンドワゴン効果)。

ところが、もはやそれだけで人を動かすことが難しくなっているため、「不安」が人を動かすツールとしての機能を持つことになったのだという。

例えば「40代から始めるスキンケア」という言葉は、「40代で始めないと手遅れになる」と感じさせる。時間的な制限がちらつけば人は不安になり、焦りを感じて冷静さを失う。だから、その不安を打ち消すため購買に走るわけだ。

こんなところからも分かるように、私たちは「今すぐやらなければ出遅れる」という焦りを喚起させる言葉を日常的に浴びているのである。だが、やはりそれは健全ではない。

だからこそ、「自分だけのモノサシ」を持つべきだということだ。


 大切なのは、「自分がどう感じたか」を見つめ直すこと。それが、自分だけの「価値のモノサシ」だ。
 だけど、私たちはつい「価格が高いほど価値がある」と錯覚する。これが、資本主義の巧妙な罠だ。(47ページより)

セールで3万円に値下げされていた定価10万円のジャケットを見つけ、買うべきか迷っているとしよう。そんなとき店員から「今だけ特別に、2万円でご提供します」とささやかれれば、思わず買ってしまうかもしれない。

しかし、結果的にクローゼットに眠ったままだったのだとしたら、そのジャケットの価値は限りなくゼロに近くなる。それが、他人の評価や価格に惑わされ、"自分が本当に望むもの"を見失った状態だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国10月物価統計、PPIは下落幅縮小 CPIプラ

ワールド

フィリピン、大型台風26号接近で10万人避難 30

ワールド

再送-米連邦航空局、MD-11の運航禁止 UPS機

ワールド

アングル:アマゾン熱帯雨林は生き残れるか、「人工干
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中