最新記事
アメリカ経済

勢い衰えない米株上昇...過熱の兆候も市場の大勢に逆らえず

2024年12月10日(火)09時05分

過熱の兆しも

一方で、一部の熱烈な強気派の間でも株価上昇は一服する時期に来ているとの見方が浮上している。

バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネット氏は6日、S&P500の株価純資産倍率(PBR)は5.3倍で2000年3月のピークを上回っていると指摘し、25年第1・四半期に「オーバーシュート」のリスクがあると警告した。また、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが先週、史上初めて10万ドルを突破するなど、より幅広い市場でのフロス(泡)の兆候にも言及した。


 

同社の来年のS&P500の目標は6666と、現在の水準より9%以上高い。

11月の米消費者信頼感指数によると、過去最高となる56.4%の消費者が今後12カ月で株価が上昇すると予想している。ヤルデニ・リサーチの創設者エド・ヤルデニ氏は、現時点では強気に傾き過ぎている可能性があるとする一方、短期的な株価下落は安値拾いのチャンスになるとの見方を示した。

RBCの米株式調査責任者ロリ・カルバジーナ氏は11月下旬に、投資家のポジションの集中と高いバリュエーションにより、S&P500が5─10%下落する恐れがあると警告した。

S&P500の予想株価収益率(PER)は現在、22.6倍と過去平均の15.77倍を上回っている。

しかし今のところ、こうした懸念が市場全体に波及している兆候はほとんど見られない。投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX)は、8月に市場が一時的に動揺した際に4年ぶりの高水準を記録した。しかし6日は12.75とほぼ5カ月ぶりの低水準となった。

経験則に基づくと、VIXは市場の落ち着きがしばらく続く可能性を示唆している。VIXが14を下回ると、中程度のボラティリティーを示す20を超えるには平均136営業日を要する。

12月は歴史的に株価が好調であることも投資家の信頼感を高めている可能性がある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中