最新記事

航空機

展望2021:コロナ・パンデミック衰えず航空業界は正念場 

2021年1月3日(日)11時22分

いずれ旅客需要が19年の水準に戻っても、企業の出張抑制で特に国際線のビジネス需要は減る傾向だろう。その場合イールド(旅客1人に対する1キロメートルあたり収入単価)が下がり、事業収入は落ちる。イールド低下は大手には痛いが、低コストで運営できるLCCには有利に働く。

環境意識の高まりで鉄道と競争

航空業界には、環境問題への対応という課題もある。飛行機はもともと二酸化炭素(CO2)排出量が多く、環境団体から批判が高まっている。欧州では「飛び恥」と呼ばれることもある。米国では環境政策に注力するバイデン次期大統領が鉄道の拡張を支持しており、世界的に「飛行機ではなく、高速鉄道で」という動きが強まりかねない。

機関投資家や消費者からの環境対応イメージに配慮し、一般企業が飛行機の利用を抑えることも考えられる。フランス政府はエールフランスへの公的資金投入の条件にグリーンポリシーを付加しており、鉄道と競合する国内の短距離路線を廃止する方針も示している。

ANA・JAL統合論

コロナを機に、ANAとJALの統合論も再燃している。特に国際線は統合して1社化すべきなどの意見も聞かれるが、航空大手は国内線と国際線を併せ持ち、両者を結び付けるネットワークを持つことで成立している。何より国際線専従はイベントリスクに対して脆弱(ぜいじゃく)すぎる。ANAやJALが国際線専従だったなら、コロナ禍でとっくに破綻していただろう。

事実、国際線専従のシンガポール航空は危機にひんし、シンガポール政府が政府系ファンドを通じて1.2兆円を超える巨額支援を行っている。香港のキャセイ・パシフィック航空も同様だ。

両社のライバル関係により、価格だけでなく、サービスにも磨きがかかっている。競争原理は残したほうがいい。


(聞き手:白木真紀 )

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ワールド

中国、米国産大豆追加購入の可能性低下も 関税違憲判

ビジネス

トランプ関税違憲判決、米エネ企業のコスト軽減 取引

ワールド

米USTR、新たな301条調査開始へ 主要国の大半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 2
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 3
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 6
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中