最新記事

ニュースデータ

「会社辞めます!」の、その理由

日本の若者を食い潰すブラック企業と、女性にのしかかる育児・介護の重圧

2015年9月15日(火)16時20分
舞田敏彦(教育社会学者)

離職の背景 会社を辞める理由を統計でまとめると年代別で様相がかなり異なっている solarseven-iStockphoto

 景気回復によって学生の就職内定率が上がっている。しかし就職後の離職率も高い。2011年春の大学新卒の就職者でみると、1年目までに14.3%、3年目までに32.4%(3人に1人)が離職している。宿泊・飲食業はもっと高く、3年目までの離職率は52.3%と半分を超える(厚労省調べ)。

 若者の離職理由の多くは、長時間労働や薄給といった労働条件だ。女性は結婚、出産による離職も多い。壮年層や中年層では、様相がまた違っている。性別や年齢によって離職理由にはバリエーションがあるが、その内訳が一目でわかる図を作ってみた。

 2012年の総務省『就業構造基本調査』から、正規職員の離職理由を知ることができる。2011年10月から翌年9月までの離職者(224万人)のデータだ。年齢層別の離職理由の内訳を面グラフにすると<図1>のようになる。

maita150915-chart1.jpg

 若年層では「労働条件が悪かった」という理由が最も多い。20代では、これだけで全体の4分の1を占めている。若者を使い潰す「ブラック企業」が問題化していることを考えれば、このような結果も合点がいく。25~34歳では結婚や出産、育児が目立つが、大半は女性だ。

 中高年層になると人員整理(リストラ)の比重が増え、介護離職者も出てくる。60代では定年、それ以降では病気、高齢という理由が大半を占めるようになる。当然だが、離職理由はライフステージごとに様相が変化していく。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ファーウェイ、チップ製造・コンピューティングパワー

ビジネス

中国がグーグルへの独禁法調査打ち切り、FT報道

ビジネス

ノボ、アルツハイマー病薬試験は「宝くじ」のようなも

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中