最新記事

航空機

トラブル続きボーイング787は大丈夫か

What's Wrong with the Boeing Dreamliner?

「夢の最新鋭機」に重大な事故につながりかねないトラブルが続発。日米当局の命令で当分空も飛べなくなってしまったが、いったい何が原因なのか

2013年1月17日(木)16時03分
ファイン・グリーンウッド

 ボーイング社の最新鋭機である787型機ドリームライナーは、ここ数週間まずい状況に陥っている。トラブルが相次ぎ、航空会社や運輸当局、そしてもちろん一般の乗客をも不安に陥れているからだ。

 全日本空輸の山口宇部発羽田行きボーイング787型機で昨日、飛行中に機内で煙が発生し、高松空港に緊急着陸したトラブルが起こった後は、日米当局が相次いでボーイング787型機の運航を見合わせるよう世界の航空各社に命令。新しい機種にありがちな「初期不良」ではすまないかもしれない、という懸念も強まっている。

 ドリームライナーに「悪夢」をもたらしている不具合の数々を挙げてみよう。


1)燃料漏れ

 米連邦航空局(FAA)は先月、787型機の燃料を送る配管の組み立てで不具合を発見し、航空各社に対して点検を指示していた。彼らの不安は的中し、今月7日にはボストンのローガン空港に駐機中の日航機のバッテリーから出火し、客室内に煙が発生。8日には同空港で別の日航機が離陸前に燃料漏れを起こした。

 成田空港では13日、7日にボストンで出火したのと同じ日航機で点検中に燃料漏れが見つかった。左翼の給油口から燃料を抜き取っていたところ、燃料放出用のノズルから約100リットルの燃料が漏れ出したという。このトラブルもボストンで発生したものと同様、バルブが不意に開いてしまうシステム上の不具合が原因とみられている。

2)バッテリー問題

 今月16日の全日空機のトラブルは「バッテリー系統の異常」によって引き起こされたと見られている。全日空機は緊急着陸を余儀なくされ、機内には煙に加えて焦げたにおいが充満した。7日のボストン空港でもバッテリーからの出火が起こっている。

3)操縦室の窓ガラスにひび

 今月11日、羽田空港から松山空港に向かっていた全日空機で操縦室の窓ガラスにクモの巣状のひびが入ったことが確認された。通常通り松山空港に着陸し、ガラス交換を行い、事なきを得た。

 もしも運航中に割れた窓ガラスから操縦士が投げ出されたらどうなるのだろうか。あり得ないように思える事故だが、1990年にブリティッシュ・エアウェイズで実際に発生している。機長は一時、吹き飛んだ窓から上半身が飛び出した状態になったものの、乗客・乗員全員が無事に生還した。

4)電気系統の不具合

 ユナイテッド航空機が先月4日、機器故障でニューオーリンズの空港に緊急着陸したのをはじめ、電気系統の問題が最近の一連のトラブルの大多数を占めている。先月13日、カタール航空の保有機でも不具合が見つかった。先月17日には、ユナイテッド航空でも電気系統の問題が報告されている。

5)ブレーキの不具合とオイル漏れ

 今月9日、山口宇部空港で点検中の全日空機にブレーキの不具合が見つかり、運航を中止した。コンピューターの誤作動によるものだという。次いで11日、宮崎空港で全日空機に潤滑油漏れが発生した。

 同日FAAは、787型機の基幹システムの包括的な調査を開始すると表明。さらに16日にはアメリカ国内での787型機の運航停止の命令を出した。これを受けて17日、日本の国土交通省もすべてのボーイング787型機の運航停止を命じる方針を固めた。

From GlobalPost.com特約

ニュース速報

ビジネス

健全な経済成長維持し、供給側の改革を優先─中国国家

ビジネス

今年度歳出、100兆円突破へ 政府が補正予算案を閣

ワールド

サウジ副皇太子が中国と日本訪問へ、原油依存脱却に向

ビジネス

アングル:イエレン講演後もドル安リスク、米早期利上

MAGAZINE

特集:世界が期待するTOKYO

2016-8・30号(8/23発売)

リオ五輪の熱狂は4年後の東京大会へ── 世界は2020年のTOKYOに何を期待するのか

人気ランキング

  • 1

    フィリピンのドゥテルテ大統領が国連脱退・中国と新国際組織結成を示唆

  • 2

    オリンピック最大の敗者は開催都市

  • 3

    海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府

  • 4

    実情と乖離した日本の「共産主義礼賛」中国研究の破綻

  • 5

    NSAの天才ハッカー集団がハッキング被害、官製ハッキングツールが流出

  • 6

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 7

    決死の亡命を果たした北朝鮮公使、韓国で約束される仕事と警護

  • 8

    北朝鮮外交官の亡命と「ドラゴンボール」の知られざる関係

  • 9

    「反安倍」運動に携わるシニア左翼の実態と彼らのSEALDs評

  • 10

    2050年の「超高齢化」日本に必要な意識改革

  • 1

    フィリピンのドゥテルテ大統領が国連脱退・中国と新国際組織結成を示唆

  • 2

    海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府

  • 3

    競泳金メダリストの強盗被害は器物損壊をごまかす狂言だった

  • 4

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 5

    リオ五輪、英国のメダルラッシュが炙りだしたエリートスポーツの光と影

  • 6

    オリンピック最大の敗者は開催都市

  • 7

    「ドーピング」に首まで浸かった中国という国家

  • 8

    リオ五輪でプロポーズが大流行 「ロマンチック」か「女性蔑視」か

  • 9

    希望のない最小の島国ナウルの全人口をオーストラリアに移住させる計画はなぜ頓挫したか

  • 10

    中国衝撃、尖閣漁船衝突

  • 1

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 2

    中国衝撃、尖閣漁船衝突

  • 3

    戦死したイスラム系米兵の両親が、トランプに突きつけた「アメリカの本質」

  • 4

    日銀は死んだ

  • 5

    【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(前編)

  • 6

    トランプには「吐き気がする」──オランド仏大統領

  • 7

    イチロー3000本安打がアメリカで絶賛される理由

  • 8

    フィリピンのドゥテルテ大統領が国連脱退・中国と新国際組織結成を示唆

  • 9

    海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府

  • 10

    競泳金メダリストの強盗被害は器物損壊をごまかす狂言だった

 日本再発見 「世界で支持される日本式サービス」
 日本再発見 「世界で支持される日本式サービス」
Newsweek特別試写会2016初秋「ハドソン川の奇跡
アンケート調査
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

パックン(パトリック・ハーラン)

芸人も真っ青? 冗談だらけのトランプ劇場

小幡 績

日銀は死んだ

STORIES ARCHIVE

  • 2016年8月
  • 2016年7月
  • 2016年6月
  • 2016年5月
  • 2016年4月
  • 2016年3月