コラム

自分の弱さを認めることが「強さ」になる/hack into(~を分析して理解する)

2016年03月25日(金)06時04分

【今週のTED Talk動画】The Power of Vulnerability - Brene Brown
https://www.ted.com/talks/brene_brown_on_vulnerability?language=en

登壇者:ブレネー・ブラウン

 このTED Talkはあまりに人気が高いため、登壇者ブレネー・ブラウンの人生を変えたとも言われている。それほどに人の心に触れる話だった。彼女が扱っているテーマは、誰にでも関係のあるものだ。それは"どのように他の人との関係をつくっているか"。ソーシャルワークを専門とする学者として人と人との関わり方を研究する中で、vulnerability(自分の弱さを認めること)が重要なテーマとして上がってきたという。

 6年間、多くの人と話し、彼らの語るストーリーを何千も聞き出してきた結果、愛情と帰属意識(所属性)を最も強く持っている人は、自分の弱い部分も認めているということをブラウン氏は発見した。例えば、相手より先に「I love you」を言うと、自分の弱さから喜びが生まれるのだそうだ。このTED Talkは、他の人との接し方を見直す良いきっかけになるだろう。

【参考記事】自らの経験からうつ病の本質を突き止めた作家/In its grip...(~につかまれて)

キーフレーズ解説

Hack into
~を分析して理解する

(動画3:00より)

 hackという言葉を聞くと、スキルを使ってコンピューターシステムに潜入し、大混乱を引き起こす人々、すなわちハッカーを彷彿とさせます。その場合、動詞としてhack は「侵入する」という意味になります。しかし、このTED Talkでブラウン氏は、この表現をコンピューターではなく、それ以外の何か難しいものに入ろうとするという意味で使っています。そう考えると、この場合のhackは「難しい問題に賢い解決策を見つける」です。

 このTED Talkで彼女は、その意味で2回、hack intoを使っています。最初は、複雑なことを分析してその原理を理解するのが好きだという話の中で使われており、2回目は、彼女がソーシャルワーカーとして人の生活にhack intoしていると言っています。ここでは、人の内面を分析しているということを意味します。

 ここでいくつか使用例を紹介します:

●A good writer tries to hack into the brains of his readers.
(良い著者は読者の頭脳に立ち入り理解しようとします)

●Sleep researchers are attempting to hack into the workings of the circadian rhythm.
(睡眠の研究者は概日リズム〔サーカディアン・リズム〕の動きを分析して理解しようとしています)

●I will try to hack into the concept, and let you know how it goes.
(そのコンセプトを分析しようとします。後で報告します)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story