コラム

大谷翔平効果か......ワールドシリーズのチケットが異常高騰

2024年10月16日(水)16時15分

まず一番「標高の」高い、従って見づらいので一番安いブリーチャーは、例年なら公式戦の8倍で320ドル前後になるはずでした。ところが、発売された正規料金は890ドル(約13万2000円)、これがWSの最低価格だというのです。つまり公式戦の22倍という水準となっています。外野のセクション最後列でも2700ドル。報道によればバックネット裏の最前列は2万2000ドル、つまり日本円で330万円というのですから、これはスーパーボウル並みと言えます。しかもWSの場合はスーパーボウルのような1度きりの勝負ではないのです。

LCSまでは倍々の公式に従っていたのに、今年に限ってWSが一気に跳ね上がったのは、どう考えても大谷効果ということが言えると思います。ヤンキースのファンにとっては、自分たちのヒーローであるアーロン・ジャッジ選手と、大谷翔平選手という不世出のホームランバッターの2人がWSという最高の舞台で対決する(可能性がある)ということで、ここまでチケットが高騰している、としか考えられません。

もちろん、この名門球団同士の対決は1981年以来44年ぶりだとか、ともに公式戦でリーグ最高勝率を達成した同士のハイレベルな対決だという理由もあると思います。また、仮にドジャースがLCSで敗退したとしても、相手はメッツになるわけで、その場合はNYのチーム同士の「地下鉄シリーズ」になるという期待もあるかもしれません。そうした要素はあるにしても、大谷とジャッジの対決というWSの歴史に残るかもしれないドラマへの期待感が、公式戦の22倍という価格に反映しているのは間違いなさそうです。


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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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