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サプライズはゼロだった米副大統領候補の討論会
さらに驚いたのは、バンス氏によれば「2021年1月6日の議会暴動」などは実際にはないようなものであり、この時も「政権交代は平和のうちに行われた」というのです。トランプ氏への批判のセリフを思い切り用意していたであろう、ウォルズ候補は、このバンス候補の言い方を見て、丸い目を余計に丸くしていたのでした。その他にも意外だったのは、農業振興であるとか、有給の育休を全国法で義務化するなどという話題では、両候補は意気投合すらしていたのでした。
そんなわけで、分断と罵倒合戦という2016年以来の「選挙のパターン」がまるで消えてしまったかのような、不思議なテレビ討論でした。もちろん、こうしたトーンで進んだというのは、両陣営の計算が重なったからに他なりません。では、どういった思惑があったのかというと、ズバリ「未決定無党派層」の取り込みが狙いだったということです。
まずバンス氏としては、トランプ候補本人が延々と続けてきた「暴言パフォーマンス」でコア支持層を固める作戦は既に限界に来ているという判断があったのだと思います。そこで、今回は無党派層にターゲットを定めたと考えられます。CNNで政治アナリストのヴァン・ジョーンズ氏(オバマの元ブレーンの一人)によれば「トランプ政治のあらゆるクレイジーな点を洗い流して女性票と、無党派票に媚びただけ。全ては虚偽」と手厳しいのですが、とにかくバンス氏はこの方法論を徹底していました。
ウォルズ氏の方も、ほぼ同じような作戦であり、「未決定無党派層」への浸透をかなり意識していたようです。例えば自分の趣味は狩猟で銃を保持しており、以前は熱心なNRA(全米ライフル協会)の会員だったなどと述べて、銃保有派をかなり意識していました。2人がこうした姿勢を徹底したのには、決戦州と言われるペンシルベニア、ミネソタ、ウィスコンシンの3州での情勢が極めて僅差で推移している点もあると思われます。
このように、今回の副大統領候補のテレビ討論ではサプライズもなければ、過激な中傷合戦もありませんでした。これで、全体としては僅差のまま、約1カ月後の投票日まで推移する可能性が高くなってきました。その一方で、「オクトーバー・サプライズ」があるとしたら、中東情勢の悪化、株式市場の暴落といった軍事外交や経済に関わる激変が選挙の構図を変えるというシナリオになるのではないでしょうか。
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