コラム

中東問題に関する日本の「中立」外交は問題なのか?

2023年11月01日(水)14時45分

では現在の情勢下、G7の中で、日本だけがこうした姿勢を取ることには問題があるのかというと、それは「ない」と考えられます。

何よりも、上記の3点は求められれば胸を張って説明できるし、アメリカを含むG7諸国はそれぞれに理解を示すと考えられるからです。特にアメリカに関しては、今回の事態を受けて「イスラエル支持で団結」という状況にはなっていません。アラブ系の市民運動による「ガザ人道危機への告発」だけでなく、今は、穏健ユダヤ系による「ユダヤ系の名で攻撃するな」という反戦運動が高まっているなど、アメリカ世論は「一枚岩」ではないということもあります。多くのイスラム系市民を抱えたイギリス、フランスなど、他のG7諸国にも似たような状況があると考えて良いと思います。

日本の特に保守派の中には、日米同盟の堅持が安全保障の根幹だという認識から、軍事外交においては、アメリカに100%同調すべきという考え方が昔からありました。例えば湾岸戦争、あるいは21世紀初頭の反テロ戦争においては、可能な限りアメリカを支持する姿勢を見せることが、日本の安全を確保する上では「必要不可欠」だと思い詰めていたのです。ですが、現在の世界情勢は当時とは状況が違っており、現在の日本は「中立」を保っていいし、また条件的にもそれは可能であると考えられます。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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