コラム

「ケネディの匂い」がしないバイデン大統領

2021年02月23日(火)18時00分

ケネディのキャラクターということでは、民主党支持者にとって一つのシンボルとなっているのは、ホワイトハウスに残っている公式肖像画です。ジャクリーヌ夫人が故ケネディを「考える人」というイメージで残したいとして選んだそうですが、アメリカの肖像画には珍しくここでのケネディは腕を組んでうつむいています。その「考える人」というイメージが、国難に際して沈思黙考するリーダーという一種のスタイルになっていたわけです。

ですがバイデン大統領は、おそらく危機に当たっては沈思黙考するのではなく、ブレーンや場合によっては野党政治家も含めて衆知を集めようとするタイプであり、「考えるケネディ」とは正反対ということが言えると思います。

3つ目は、時の流れです。JFKの伝説は、もうすぐ没後60年という現在では、かなり薄くなっています。ケネディ家に連なる政治家も、長く政界で活躍していたJFKの弟エドワードが他界した後はすっかり存在感が薄くなっています。時の大統領を、ケネディのカリスマと比較すること自体が、もう過去のものとなっているのかもしれません。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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