コラム

現実味を帯びてきた、大統領選「ヒラリー対トランプ」の最悪シナリオ

2015年10月15日(木)16時00分

 私は「統治能力」としてヒラリーとそのブレーンに関しては一定の評価はしていますが、仮にこのような「楽勝シナリオ」で大統領になるようなことがあれば、それは決して良いことではないように思います。大統領選というのは、「実現可能な幅の中での真剣な政策論争」によって次期大統領を鍛える、そして世論には新政権による変革への期待と準備をさせるという機能があるはずだからです。

 ヒラリー対トランプというような「内容のない」選挙戦が現実のものとなり、まともな政策論争が成立しないようですと、アメリカ政治の活力自体が弱まる、そんな可能性もあるように思います。

 そう考えると、「ヒラリーがスキャンダルに沈んだ時の代替本格候補」ではなく、「ヒラリーとの真剣な政策論争の相手」としてバイデン副大統領の参戦が民主党には必要だろうし、共和党においてはあらためてブッシュ、ルビオの2人の猛然とした奮起を期待したい、そう思うのです。

ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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