コラム

全米トップの11兆円チェーンを育てた男の成功術とは?(パックン)

2023年12月08日(金)18時40分

登壇したニューヨークのイベントで話すシャイチ(23年10月) BRENDAN MCDERMID-REUTERS

<人生で成し遂げたい目標を「死亡広告」として書くことで成功を手にした全米一のパン屋チェーン創業者のやり方を、米出身芸人パックンが伝授します>

アメリカで何を食べればいいか? とかけまして
中国が外交カードとして利用するクマ科動の物 と解く
その心は、パンだ!

そう。アメリカはパンの国だ!(にもかかわらず日本語で「米国」と書くことは永遠に納得できない。せめてコメパンならまだ分かるけど)。

さて、アメリカでパンを食べるなら、どこかの工場で焼かれ、トラックで搬入されるパンを売るだけのようなチェーン店じゃだめだ。ちゃんと職人さんが毎朝店舗のオーブンでパンを丁寧に焼くチェーン店で食べてほしい。はい、結局チェーン店です。

おすすめは「パネラ」というチェーン。店舗にはホカホカのパンのほか、ふかふかのソファ、メラメラの暖炉など、いろいろな擬音がそろっている。

「パン屋の帝王」の成功術とは?

パネラのお店はアメリカに行けばすぐ見つかるはず。全国で約2000店舗を展開しているからね。僕の地元コロラド州に39か所、アイダホ州にも7つある。アイダホの人口よりも多いかも?

ここまでが余談だ。

実は、そんなパネラ・ブレッド社をゼロからフォーチュン上位500社入りするまで育てて750億ドル(11兆円以上)で売却した創業者ロン・シャイチが最近自伝を出版(しゅっパン!)した。その中で最も注目されているのは彼の成功術。さらに、その成功術の中から僕が最も注目しているのは「自分で自分の死亡広告を書く」というテクニックだ。

この死亡広告(英語でobituary)というのは、新聞などに載って亡くなった方の経歴を紹介する記事。日本で言う、いわゆる「お悔やみ欄」的なやつだ。だいたい家族が書いてくれるから「生きる価値のない、どうしょうもねえやつだった」とかは書いていないが、事実しか載せないので、いくら愛を持ってもそこまで「特盛り」にはできない。つまり、立派な死亡広告が欲しい人は立派な人生を送らないといけないのだ。

シャイチは、死亡広告に載せたい内容を生前に決め、毎年の年末に見直すことておくことを勧めている。一旦決めたら、逆算してその目標を達成するための手段やステップを考え、年明けからなし崩し的に行っていく。そうすると目標を先延ばしにせず、大きな夢でも実現できる!というわけ。 

たとえば、僕の夢は「なし崩し的に」を正しく使うことだった。さっき達成した。ぜひ死亡広告に載せてほしい。

★なし崩し=少しずつ物事を済ませること

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」

ワールド

米、インドネシアに19%関税 米国製品は無関税=ト

ビジネス

米6月CPI、前年比+2.7%に加速 FRBは9月

ビジネス

アップル、レアアース磁石購入でMPマテリアルズと契
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story