コラム

ジョンソン辞任、あるいはウソがもたらす予期せぬ奇跡(パックン)

2022年07月30日(土)15時40分

こんなジョークを言っていたならば、前科のことを知っていたに違いない。知っていながら幹部に任用した。痴漢行為は笑いごとだと思って気にしないんだ......。観ている人の多くはそういう結論にたどり着くだろう。

この起用もその後のウソも許されず、この件が首相交代の直接の原因となった。

振り返ると、ジョンソンは「大ウソ」というより「多ウソ」が特徴だった。どうでもいいウソも含めて、数を重ねて限界を目指すなか、痴漢関連の悪質なウソでやっと国民の堪忍袋の緒が切れたようだ。だが正直、そこまでの我慢もよくないと思う。最初の小さなウソも許してはいけない。ウソつきをメディアにも政界にも受け入れてはいけない。一個でも怒るべき。堪忍袋の緒はもっと切れやすい素材で作ってほしい。金魚すくいに使う網 のような感じがちょうどいいかも。

政策も大事だが、人格も大事。リーダーを決めるとき、キャラより正直さを優先していただきたい。僕も正直者になり、ジェイソン君にゴルフ場のお店の店員さんの孫さんのお気持ちをお伝えしますから! イギリス首相に選ばれたら......。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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