コラム

原点にして革新的なフレンチカー:シトロエン C4カクタス

2016年03月08日(火)19時00分

古くからのシトロエンファンにとっては、2CVのスピリットを現代に甦らせた存在と感じられるシトロエン C4カクタス

 今回、採り上げるプロダクトは「サボテン」を意味する「カクタス」の名を持つフランス車、シトロエン C4カクタスである。

 なぜ、サボテンなのか? それはコラムの後半で説明していくが、実はメーカーのシトロエンは筆者にとってとても馴染みのある会社であったりする。

 同社は、世界で初めて前輪駆動方式や油圧で車高制御できる「ハイドロニューマチック」サスペンションシステムを量産車に採用し、1955年にそれらの技術と当時の空気力学的な知識を融合したDSシリーズをデビューさせた。

 図は、昨年、DS誕生60周年を記念して披露された公式イメージの1つで、フロントエンドがマイナーチェンジ後のデザインではあるが、内側のヘッドライトがステアリングに連動してカーブの先を照らすメカニズムも備えていた。シトロエンは、それほど先進的な企業だったのだ。

1.DS.jpg

 それに先立って1948年に発表された2CVは、戦後に必要となるであろう安価な移動・運搬手段とすべく、第二次世界大戦中から政府の目をかいくぐって開発が進められていた大衆車だった。基本形状は時代相応にクラシックだが、水平配置のバネで連結した前後関連サスペンションやキャンバストップ、取り外し可能なシートを備え、低価格ながら柔らかな乗り心地と高い悪路走破性、そして大きな積載能力を備えていた。

2.2CV.jpg

 さらに、1970年発売のGSは、1015ccの小型車にハイドロニューマチックを採用し、今から45年前のものとは思えない革新的な空力ボディとインテリアデザインが特徴だった。

3.GS.jpg

 このGSは実家で10年以上も愛用され、筆者が最初に運転した自家用車でもあった。そして、独立してからは2CVに10年以上乗っていた。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story