最新記事
シリーズ日本再発見

「自転車と盆栽のまち」さいたま市で、遠隔制御ライトアップが生み出す地域活性化の種

2023年11月22日(水)17時00分
高野智宏

今回パナソニックは、美術館の庭園全体に各種の照明を配置。「盆栽×宇宙」をテーマに、伝統的で温もりを感じる電球色をはじめ、四季それぞれの色彩を表現した演出、そして秋を代表する星座であるアンドロメダ座も浮かび上がる宇宙の計6シーンを各90秒にわたって表現している。これを約10分間で1ターンとして、ループ再生される。

さいたま市大宮盆栽美術館の夜間特別ライトアップ

来場者が自分でライトアップを制御できる体験型コンテンツ

今回のイベントでは、「YOI-en」を使った来訪者向けの体験型コンテンツ「YOI-iro(ヨイイロ)」も複数用意された。

そのひとつが、庭園全体を見渡す美術館2階のテラスから楽しめるパノラマ演出だ。体験者がスマートフォンで2次元コードを読み取り、アプリ内で自身の誕生日を入力すると、12色あるパターンの中から誕生日カラーが選ばれ、庭園全体のライトアップが体験者だけの特別なものとなる(20秒間)。

ふたつめが、1階庭園の入り口に配置されたメイン盆栽にプロジェクションマッピングを投影するインタラクティブ演出だ。これも体験者が2次元コードをスマホで読み取り、同じく誕生日を入力するものだが、目の前の盆栽には「おすすめの惑星への旅」という映像が投影される。同時に体験者のスマホ画面には、太陽系惑星をイメージした占い結果が表示されるというプログラムだ。

「YOI-en」ならではの仕掛けであり、盆栽が映し出す小宇宙を体感できるユニークな試みと言えるだろう。

さいたま市大宮盆栽美術館の夜間特別ライトアップ

会場に用意された「YOI-iro」の2次元コード

先進デジタルテクノロジーが「地域のファン」づくりの一助に

「YOI-en」を用いたさいたま市大宮盆栽美術館のライトアップイベントについて、開発者であるパナソニック エレクトリックワークス社の青木昌広氏は、その多彩な照明演出により「新しい街の賑わいを創出し、街演出の運用支援を行いたい。何より、新たな体験価値を生む『心を動かすコンテンツ』で感動を届けたい」と語る。

これまでに「YOI-en」は、京都で2022年秋に開催されたアートイベント「NAKEDヨルモウデ2022平安神宮」や、2023年2月の「サッポロアートキャンプ」(札幌芸術の森)に導入された実績がある。直近ではインドや横浜、そして来年度中には常設での運用も予定されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ウィーワーク、再建計画を裁判所が承認 破産法脱却

ビジネス

米インフレは2%目標へ、利下げ検討は時期尚早=ダラ

ワールド

金正恩氏、超大型多連装ロケット砲発射訓練を指導=朝

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、米国以外の規制当局がすべて
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

  • 2

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 3

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程でクラスター弾搭載可能なATACMS

  • 4

    地球の水不足が深刻化...今世紀末までに世界人口の66…

  • 5

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き…

  • 6

    国立大学「学費3倍」値上げ議論の根本的な間違い...…

  • 7

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 8

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 9

    AI自体を製品にするな=サム・アルトマン氏からスタ…

  • 10

    EVと太陽電池に「過剰生産能力」はあるのか?

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中