東南アジアの紛争地帯に林立する「ネット詐欺工場」──10万人以上を搾取する中国人マフィア
アメリカにある平和研究所で組織犯罪に関する調査・研究を統括するジェイソン・タワー博士は「Wanは公式には中国政府と全く関係ないが、‘一帯一路’ 構想に沿ってビジネスを展開している」と指摘する。
そのフロント企業である海外鴻門文化交流センターは、KKパークなどネット詐欺工場の運営主体だったとみられていて、たとえこれが解体されても次のフロント企業が立ち上げられる公算が高い。
ミャンマーは中国がインド洋に抜けるルート上にあり、‘一帯一路’ 構想のなかでも重要な位置を占める。
日本人の資産流出の懸念
日本語は世界的にみて特殊な言語であるため、これまで日本では外国の詐欺集団による被害が限定的だったが、AIの発達によりこの言葉の壁は一気に低下した。
いわゆるフェイクニュースだけでなく、詐欺に関しても、日本を取り巻く環境はより厳しさを増しているとみた方がいいだろう。
東南アジアの密林地帯で今も「操業」を続けるネット詐欺工場は、被害者の人権問題であるだけでなく、日本人の資産を脅かしかねない問題でもあるのだ。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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