コラム

産官学が連携、日本の「未来への取り組み」の変革...新たな政策形成や企業経営の在り方を模索

2025年10月21日(火)16時35分

名だたる日本企業が、従来の「分析思考」や「選択と集中」を超えた新たな取り組み(=「構成思考」や「創発と分散」を特徴としたフォーサイト経営)の実例からは、きっとこれからの日本企業の、そして日本自体の未来像が浮かび上がってくるはずだ。登壇予定の各社は、単発的なイノベーション創出のための未来洞察から、継続的な経営インテリジェンス機能として、あるいは企業文化としての未来洞察へのシフトに余念がない。

国際連携と継続的な経営インテリジェンスのために

日本総研の取り組みは、国際的な連携も視野に入れて展開されている。ドイツ企業4stratが開発し、欧州企業・行政向けに提供しているウェブシステムに、日本総研のスキャニングマテリアルなどを組み合わせたフォーサイトツールの提供も行っている。いすず中央研究所での活用事例など、実績も積みあがってきた。また、毎月100件以上に及ぶスキャニングマテリアルの継続的な作成・蓄積により、未来洞察の基盤となる情報インフラの整備も着実に進みつつある。

日本総研の未来志向型プロジェクトは、地域の市民参加から中央政府の政策形成まで、社会の多層にわたって新たな未来観の育成と意思決定手法の実装を進めている。長浜市での「未来おみくじ」から総務省でのOECD連携まで、その射程の広さと具体的な実践への注力が際立っている。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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