コラム

変電所の火災で「機能マヒ」に陥った英ヒースロー空港...最重要インフラの脆弱性、学ぶべき教訓

2025年03月22日(土)16時35分
変電所火災で閉鎖された英ヒースロー空港

ヒースロー空港の停電により立ち往生する乗客たち(3月21日) Carlos Jasso-Reuters

<火災によって電力供給が影響を受け、空港の閉鎖で30万人に影響が。テロやロシアの関与も懸念されたが、電気技術者のミスが原因との見方も出ている>

[ロンドン発]20日午後11時20分ごろ、英ロンドンのヒースロー空港から約3キロメートル離れた変電所で2万5000リットルの冷却オイルが燃え上がり6万7000世帯以上が停電、150世帯が避難した。空港への電力供給も止まり1300便以上が欠航、乗客30万人に影響が出た。

英紙タイムズ(21日付)によると、変電所から爆発音が3回し、消防車10台、泡消火車2台、大容量ポンプ車と消防士約70人が消火活動に当たった。午前6時半には鎮火した。近くのヒースロー空港は欧州で最も利用客が多く、昨年は8390万人が利用している。

最初の到着便は21日午前4時45分だった。ヒースロー空港の管制塔は午前1時44分、「地元周辺で発生した大規模な事故により電力供給が影響を受けているため、空港は閉鎖された」と早急に知らせる必要のある航空情報「ノータム」を発信した。

電気技術者のミスが原因か

ヒースロー空港は230の国際都市に就航している。航空機は出発した空港に戻るか、ロンドンのガトウィック、アムステルダム、フランクフルト、アイルランドのシャノン空港に着陸した。ロンドン警視庁はテロの可能性も含め捜査し、一時はロシアの関与も懸念された。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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