コラム

トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロンドンから流出...「金の大移動」はなぜ起きた?

2025年02月01日(土)18時20分

世界金融危機、欧州債務危機、コロナ経済対策で日米欧中銀は異次元の量的緩和を行い、インフレ対策で利上げを行った現在でも18兆3000億ドルの資金が世界中を彷徨う。これが株高、金や仮想通貨の価格高騰を生み、金価格は一時、史上最高値の1キログラム当たり9万ドルを突破した。

米国への金塊流入は表面化しているよりはるかに多い可能性がある。ロンドンの現物市場よりニューヨークの先物市場の価格が高いことに目をつけたトレーダーたちが価格差を利用した裁定取引を行っていることが金塊大移動の理由の一つになっているという。

英中銀総裁「100年前は金本位制、現在は金本位制ではない」

イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は1月29日、英下院財務委員会でニューヨークへの金塊流出について下院議員に追及され「リスクの観点からはそれほど大したことではない。 第一に金はかつてのような役割を果たしていない」と火消しに努めた。

「 100年前にこの問題を議論していたら、私たちは全く異なる世界にいた。100年前は金本位制、現在はそうではない。その意味で政策上重要ではない。(トランプ)関税の影響に備えているようなことをほのめかしているようだが、果たしてどうだろう」(ベイリー総裁)

「ロンドンは依然として世界最大の金市場だ。世界をリードする金市場だ。その市場に関与し、取引を行ったり、金を利用したりしたいのであればロンドンに金を持っていなければならない。金はロンドンに出入りしている。金が動くからといって大げさに考える必要はない」(同)

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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