コラム

いち早く動いたソフトバンク...国内から「富の流出」が本格化? 日本経済「2025年のリスク」とは

2025年01月08日(水)17時10分

アメリカへの富の流出が本格化する?

アメリカは内向き社会に舵を切ったとはいえ、エネルギーと食糧のほとんどを自給できる国であり、人口も増える見通しとなっている。最先端のAI(人工知能)技術も持っており、アメリカ経済は今後も成長が期待できる。こうしたなか、ソフトバンクグループがアメリカ国内への投資に全力を傾けるのは企業行動として当然のことだろう。

しかしながら日本から見れば、自由貿易の終焉と、それに伴う企業の対米投資増加は、日本からのアメリカへの富の流出を意味している。投資から得られるリターンは確保できるものの、獲得した利益はアメリカ国内で再投資される可能性が高く、基本的に日本国内には戻ってこない。

今年は、自由貿易を当たり前としてきた従来の価値観がもはや通用しなくなりつつある現実についていやが応でも認識させられるかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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