コラム

ロンドンで放棄される教会が増加、その驚きの行く末は?

2026年03月26日(木)16時34分

このエリアで僕が数年前にたまたま訪れた別の教会は、低賃金労働者たちの立ち寄り施設になるという素晴らしいアイデアを実践していた。

活用しているのは主にオフィスの清掃員などで、たとえば朝のシフトを終えた後、おそらくはまた別の建物で夕方のシフトに入るまで4時間の空きがある、という人々だ。


彼らは大抵、中心街ではなく遠くに住んでいるだろうから、一度帰宅してまた出て来ようとすれば交通費も時間も費やしてしまう。この教会はそんな彼らにお茶を提供し、待機なり交流なり読書なりできる温かで快適な空間を与えている。

だが当然ながら、事実上放棄されてしまっている教会もある。中には廃墟と化しているものも。大抵は屋根のダメージのせいでそうなってしまう。屋根は概して問題が起きやすく、大きな屋根ほど巨額なコストがかかり維持が困難だ。

さらに教会の屋根は窃盗にも狙われる。雨除けのために屋根に使われている鉛は高価だし、(柔らかい金属で)比較的簡単に剥がせるからだ。これをやられると致命的で、少数の教区民しかいないと修理費は賄えない。

だから、状況のせいでやむを得ず、あるいは合理的な判断によって、放棄される教会もある。それらは後に「俗化」が行われる。つまり、全ての神聖な物品が取り除かれ、儀式を経て礼拝の場ではなくなり、教会の形をしただけのただの建物になる。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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