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コリン・ジョイス Edge of Europe
女性政治家を阻む「ガラスの天井」は危機下にもろくなる
James Glossop-REUTERS
<企業や組織が危機に陥っている時には、女性トップの就任を妨げる「ガラスの天井」は消えるらしい。政治的混乱が続くイギリスでは今、首相からスコットランド指導部まで気が付けば女性だらけ>(写真は15日にスタージョン・スコットランド自治政府首相と会談するメイ新首相)
トップに就くのを妨げる明らかな理由もないのに、女性たちがどういうわけかトップになれないことは、「ガラスの天井」という言葉でよく語られる。それでも女性がトップに上り詰めたら、「彼女はガラスの天井を打ち破った」と言われるものだ。
僕はテレビで興味深いコメントを耳にした。あるコメンテーターが言っていたことだが、企業(あるいは国や政党)が危機に陥っているときには、どうやらガラスの天井は消え失せるというのだ。危機的な状況では、男性か女性かに関わらず最も適切な人をリーダーにしようとするからだという。
【参考記事】ボリス・ジョンソン英外相の嘆かわしい失言癖
企業や国が混乱状態だから女性に目を向ける、という意味ではない。すべてがうまくいっているときは、彼らは概して男性を選ぼうとする。でも困難な状況下では、男性と女性の立ち位置は同等になる。ある女性がその職務に最適だったとしたら、彼女がトップに就くだろう。ところが平常時には、ほどほど信頼に足る男性がトップを引き継ぐ可能性が高い。
気付けば女性リーダーだらけ
僕がこのコラムを書いている今、イギリスはちょうど、ブレグジット(イギリスのEU離脱)の任務を引き継ぐ新たな女性リーダー、テリーザ・メイを首相に選出したところだ。与党・保守党の党首選で最後まで彼女と争ったのも、やっぱり女性のアンドレア・リードサムだった。そして、メイの前任者でイギリス史上唯一の女性首相だったマーガレット・サッチャーも、経済的・社会的にイギリスが苦境にあった時代に党首に就任し、総選挙で勝利して首相になった。
野党・労働党は大混乱状態で、こちらも女性のアンジェラ・イーグル下院議員が次期党首に選ばれるかもしれない。スコットランドでは、昨年のイギリスからの独立の是非を問う住民投票で、独立派の先頭に立って敗北したスコットランド民族党がその後、女性のニコラ・スタージョンを党首に選出した。保守党と労働党というイギリスの二大政党が、スコットランドで大きく支持を失っていたために、住民投票でスコットランドは独立まであと一歩、ということころまでいった。どちらの党も、今はスコットランドの党首に女性を起用している(成長株のスコットランド保守党ルース・デイビッドソン党首と、スコットランド労働党のケジア・ダグデール党首だ)。
そんなわけでイギリス政界の現状をざっと見る限り、「危機下ではガラスの天井がもろくなる」の説には一理ありそうだ。
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