ベネズエラ国営石油がタンカー積み込み再開、輸出は大半が保留
写真は2025年5月、カラカスのベネズエラ国営石油会社PDVSAのガソリンスタンド前で撮影。 REUTERS/Leonardo Fernandez Viloria
Marianna Parraga
[17日 ロイター] - ベネズエラ国営石油会社PDVSAは17日、サイバー攻撃によって停止していた原油と燃料の積み込みを再開した。ただ、米国が制裁対象タンカーの封鎖を発表する中、大半の輸出は保留となっている。
ベネズエラの原油輸出は、米国が先週に制裁対象のタンカーを拿捕して以来、11月の日量90万バレル超から急減している。ベネズエラ産原油の大半の輸出先である中国に向けて出航すれば拿捕される恐れがあるため、運航会社は原油を積んだ船をベネズエラ海域に留めている。
PDVSAのターミナルで積み込みを再開しても、どれだけの船舶が出航するかは不明だ。トランプ米大統領は16日、ベネズエラ海域に出入りする全ての石油タンカーの封鎖を命じた。
関係筋や海運データによると、米シェブロンは17日、2隻の船舶に米国向けの貨物を積み込んだ。
先週の拿捕以降も、シェブロンはベネズエラ産原油の出荷を続けている。同社はPDVSAの合弁パートナーで、ベネズエラに対する制裁にもかかわらず同国からの原油輸出を米政府によって認められている。
ベネズエラ産石油を積む全ての船舶が制裁対象となっているわけではない。17日に更新された「タンカートラッカーズ・ドット・コム」のデータによると、ベネズエラには現在、位置情報を偽るため通常トランスポンダーを外して航行する「影の船団」に属する石油タンカーが75隻あるが、このうち米財務省の制裁対象は約38隻で、原油や燃料を積んでいるのはこのうち15隻という。
約1500万バレルのベネズエラ産原油が同国海域にいる船舶に滞留したままとなっている。トレーダーや関係者によると、顧客や荷主は輸送リスク増加に対する補償としてPDVSAに割引や契約変更を要求している。
PDVSAは17日の声明で、石油の輸出入は通常に戻り、タンカーは中断なく航行していると述べた。





