情報BOX:韓国で開催される米中首脳会談の主要課題
トランプ米大統領は10月30日、韓国で中国の習近平国家主席と会談する際、2期目としては最も困難な課題の1つに直面する。写真は2017年11月、北京で握手を交わす両首脳(2025年 ロイター/Damir Sagolj)
[北京 27日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、韓国で中国の習近平国家主席と会談する際、2期目としては最も困難な課題の1つに直面する。世界最大の2つの経済大国は貿易紛争の激化の回避を目指している。
米中両国は互いの輸出品に対する関税を引き上げ、重要鉱物や技術に関する貿易を停止すると示唆している。
両国ともにトランプ氏が今年1月、2期目に就任する以前に存在した貿易関係を回復させるような突破口は期待していない。今回の会談に向けた両国間の準備交渉は意見対立の調整と小規模な改善に焦点を絞っており、トランプ氏が来年初めに中国を訪問することも見込まれる。
<レアアース>
中国はレアアース(希土類)輸出規制について新たに5元素を追加するなど大幅に拡大して半導体の利用者に対する監視を強化し、中国産素材を利用する外国企業に法令順守を義務付ける新たな規則を導入した。
中国は世界中でスマートフォンから戦闘機まで多くの最新技術に利用されている加工済みレアアースとレアアース磁石の90%以上を生産しているため、かつて輸出規制を実施した際に中国産の供給に頼っている世界の生産者を動揺させた。
米国は中国に規制撤廃するよう求めており、ベセント米財務長官は先週末のマレーシア会談後、中国が新たなライセンス制度の導入を1年延期して再検討するだろう述べた。中国は具体的な措置について言及していない。
<フェンタニル>
トランプ氏は中国が合成麻薬フェンタニル製造の原料の流通を抑制できていないとして、中国からの輸入品に20%の関税を課した。フェンタニルは米国で約45万人が過剰摂取のため死亡している。こうした関税は両国がその後の交渉でかろうじて一時的な休戦に達したにもかかわらず維持されている。
中国は薬物規制の実績を擁護し、米国がフェンタニル問題を中国に対する「脅迫手段」に利用したと非難している。両国はこの問題について数カ月間行き詰まり状態が続き、クアラルンプールで会談した際で取り上げられた。
<海運>
米国は中国企業が建造・所有・運航する船舶に対して港湾料金を課しており、トランプ氏はこの動きが米国の造船業復活の資金に充てることを目的としていると述べた。このため上位10社の海運業者は来年32億ドルの負担が見込まれる。
中国はこの動きに対抗して、米国が所有・運航・建造するか米国旗を掲げる船舶に港湾料金を課し、韓国の造船企業に関連する米国系子会社5社に制裁を発動した。両国の措置は既に物流を混乱させ運賃を押し上げている。
<農業>
ベセント氏は26日放映のNBCテレビのインタビューで、中国が米国産大豆を「大規模に」購入するだろうと述べた。中国は今年、貿易紛争のために米国産大豆の輸入を事実上ボイコットしていた。
その結果、米国の大豆農家は最大の輸出市場を失い、トランプ政権の救済措置を現在待っている。アナリストによると、トランプ氏は農村部の支持基盤が損なわれれば2026年の中間選挙で自らの立場が危うくなりかねないため、中国は大豆輸入がトランプ氏にとってなかなか解決できない問題だと認識しているという。
中国は23年と24年に米国産大豆の輸出量の半分以上を購入しており、22年の米国の輸出額は179億2000万ドルのピークに達した。
<TikTok>
ベセント氏は26日、両国が「TikTok(ティックトック)に関して最終合意に達した」上に「詳細も全て調整済みだ」と述べた。両国はかつて、中国資本系TikTokの株式の過半数を米国の投資家に売却する「枠組み合意」に達したが、合意が実施されていなかった。
ベセント氏によると、今回は両首脳が会談する際に合意を「完結させる」見込みだが、当初の枠組みについてその後変更があったのかどうかは分からない。
<関税>
両国は中国からの輸入品に対する米国の報復関税の一部停止措置をさらに延長することを協議した。この猶予期間は11月10日に終了する予定だ。
トランプ氏は中国のレアアース輸出規制の強化に対する報復として、11月1日から中国製品に100%の追加関税を課すと迫っていたが、ベセント氏は「事実上撤回された」と述べた。
<米国が準備する方策>
米国はソフトウェア関連の輸出規制や半導体、医薬品など主要産業に対する広範な関税を含めて中国を標的とした新たな方策を準備している。
米国は24日、中国がトランプ氏の1期目の20年に署名された「フェーズ1」貿易合意の順守を「明らかに実施できていない」として新たな関税調査に着手した。





