米国の関税引き上げは世界経済の足かせに=豪中銀総裁補

オーストラリア準備銀行(中央銀行)のハンター総裁補は3日、米国の関税引き上げは世界経済を圧迫し、貿易品の価格に短期的に下押し圧力をかけるだろうが、政策の不確実性を考えると正確な影響を評価するのは難しいと述べた。写真はシドニーの豪中銀で2018年に撮影(2025年 ロイター/Daniel Munoz)
[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のハンター総裁補は3日、米国の関税引き上げは世界経済を圧迫し、貿易品の価格に短期的に下押し圧力をかけるだろうが、政策の不確実性を考えると正確な影響を評価するのは難しいと述べた。
ハンター氏はブリスベンでの演説で、不確実性の高まりが投資、生産、雇用の減少につながると予想される中、中銀は貿易政策の世界的な動向を注視すると表明。ただ、現在の状況は予測不可能で前例のない性質を持っているため、影響の大きさを正確に予測することは困難だとし、今後はどの想定が実態に最も近いかを注意深く見守っていくと述べた。
豪中銀は先月、国内経済と労働市場への打撃を見込んで、政策金利を2年ぶり低水準の3.85%に引き下げたほか、世界貿易の深刻な下振れシナリオと関税が撤回されるシナリオも検討した。
ハンター氏は「5月の金融政策声明のシナリオと比較することで、現在の状況と見通しを最もよく反映するシナリオを特定し、理事会がそれに応じて政策設定を調整できるようになる」と述べた。
中銀はまた、米国の関税引き上げに直面した中国の製造業者が他の市場に製品を振り向けようとするため、関税はオーストラリアにインフレ抑制効果をもたらすと判断した。
ハンター氏は「オーストラリアなど高関税を課していない国にとっては、(米国の関税が)輸入価格に影響し、製品価格が下がり、インフレが抑制される可能性がある」と述べた。