ニュース速報

ワールド

日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に 米が対中規制要請

2023年03月31日(金)18時58分

経済産業省は31日、軍事転用の防止を目的に、半導体製造装置を輸出管理対象に追加すると発表した。写真は半導体のイメージ、2月撮影(2023年 ロイター/Florence Lo)

[東京 31日 ロイター] - 日本政府は31日、軍事転用の防止を目的に、半導体製造装置23品目を輸出管理対象に追加すると発表した。対象の仕向け地は全地域とするが、米国が輸出規制の強化を求める中、中国を含めた一部の国向けはより手続きを厳格化する。日本メーカー10数社が影響を受ける。

西村康稔経産相は閣議後会見で、中国など「特定の国を念頭に置いた措置ではない」とした上で、「軍事転用の恐れがあるかないかについて、厳しくみていく」と語った。日本の半導体製造装置メーカーは世界的に大きなシェアを持つことから、「技術保有国として国際社会における責任を果たしていきたい」と述べた。

外為法の省令を改正し、輸出には経産大臣の事前許可が必要になる。パブリックコメントの募集を経て5月に公布、7月の施行を予定している。対象の仕向け地は全地域だが、輸出管理体制の状況などを踏まえ米国など42カ国向けは包括許可に、中国を含めその他向けは輸出契約1件ごとの個別許可とする。

中国外務省の毛寧副報道局長は記者会見で日本の規制について問われ、「経済や技術の問題を政治化、道具化、武器化するのは世界の供給網の安定を壊し、他者だけでなく自身も傷つけるだけだ」と述べた。

対象は東京エレクトロンが手掛けるエッチング装置やニコンが手掛ける露光装置など6分類23品目で、回路線幅14ナノ前後よりも微細な先端半導体を製造できる高性能装置が規制される。西村経産相は「全体としては国内企業への影響は限定的」としたが、経産省によると、10数社が影響を受ける。

東京エレクトロンはロイターの取材に対し、「発表された規制内容について確認の上、適切に対応する」とコメント。ニコンは「引き続き決められたルールを順守し、その中で最大限の成果をあげられるように努力する」と回答した。ニコンは、パネル向けを含め露光装置事業の売り上げの4割を中国向けが占める。

丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は、製造装置メーカーにとって日本国内に有望な半導体市場がないことが弱みと指摘。海外輸出の規制強化は「日本企業の市場開拓をむしばみ、規制という側面から確実に競争力を低下させる」と話す。

米国は昨年10月、中国が軍事転用する恐れがあるとして半導体の輸出規制を強化。先端半導体を作るのに必要な技術や製造装置の輸出に広く網をかけた。製造装置メーカー最大手の米アプライドマテリアルなどが影響を受ける中、米国は有力な製造装置メーカーを抱える日本とオランダにも足並みをそろえるよう求めていた。

3カ国は今年1月、先端半導体の製造装置輸出を規制することで合意。オランダは3月上旬、国家安全保障の観点から先端的な半導体技術の新たな輸出規制を計画していると表明したが、日本は「今般のオランダの動向も踏まえて適切な対応を検討していきたい」(西村経産相)とするにとどめていた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の和田木哲哉シニアアナリストは、経産省が公表した規制について「米国とひょうそくを合わせた内容になっている」と分析する。その上で、「業界にとっては米中の間で何らかの妥協が成立すればビジネスの正常化が期待できるし、今の米中関係が続くと中期的には中国以外の地域で需要増が期待できる」と話す。

(浦中美穂、久保信博 取材協力:竹本能文、佐古田麻優 編集:宮崎亜巳)

*システムの都合で再送します。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ホルムズ海峡で貨物船に飛翔体、火災発生で乗組員避難

ビジネス

米オープンAI、チャットGPTに動画生成Sora導

ビジネス

Cboe、ビットコインETFオプションのボラ指数導

ワールド

タイ経済、潜在成長率下回り部門間にばらつき=中銀議
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中