エヌビディア、米エネ省向けスパコン構築へ AIチップ受注5000億ドル
米半導体大手のエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は28日、同社が米エネルギー省向けに7台の新しいスーパーコンピューターを構築する予定であると発表した。写真は2024年6月、台北で撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)
Alexandra Alper Stephen Nellis Arsheeya Bajwa
[ワシントン 28日 ロイター] - 米半導体大手のエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は28日、同社が米エネルギー省向けに7台の新しいスーパーコンピューターを構築する予定であると発表した。これらのスーパーコンピューターは米国の核兵器の維持と開発に向けた一助になるとみられる。
フアン氏は、ワシントンで開かれた開発者会議「GTC」の基調講演で、トランプ大統領の「米国第一主義」政策が米国の製造業への投資拡大を促し、人工知能(AI)分野における主導的地位を高めたと称賛するとともに、エヌビディアのAIチップを量子コンピューターで動作させるネットワーク技術などの新製品や契約を発表。
「国家全体でエネルギー成長を後押ししたことで、状況は一変した」とした上で、「もしこれが実現していなかったら、われわれはひどい状況に陥っていた可能性がある」とし、トランプ氏に改めて謝意を示した。また、同社のAIチップの受注総額は5000億ドルに上るとした。
一方フアン氏は、中国政府がエヌビディアの市場参入を拒否しており、同社は中国側のこうした姿勢を理由に最新チップの米国輸出ライセンスを申請していないと言及。同時に、中国は非常に重要な市場であるため、将来的にはそれが変わることを願っていると述べた。
また、同社がどのようなチップをいつ中国市場に販売できるようになるかについて、明確な時期は示さなかった。
フアン氏は「われわれは米国にこのAI競争に勝ってもらいたい。それは間違いない。しかし、中国の開発者を獲得するためには同国に参入する必要もある。米国が世界のAI開発者の半分を失うような政策は長期的には有益ではなく、われわれにとってより大きな痛手となる」と述べた。
スーパーコンピューターは、核融合などの代替エネルギー源の研究にも利用される。エネルギー省向けの最大のスーパーコンピューターは、オラクルと共同で構築され、エヌビディアのAI用最先端半導体「ブラックウェル」が10万個搭載される。
カーソン・グループのアソシエート・ポートフォリオマネジャー、ブレイク・アンダーソン氏は「ソルスティス」と名付けられたスーパーコンピューターの1つだけでも、約30億ドルから40億ドル相当のエヌビディア製チップが搭載される可能性があると試算した。
その上で、連邦政府は割引を受ける可能性が高いため、価格設定はブラックウェルのチップにありがちな3万ドルから4万ドルとは 異なる可能性があると指摘した。
エヌビディアはエネルギー省との取引の規模についてコメントを控えた。エネルギー省はコメント要請にすぐに応じなかった。





