関税による輸出採算悪化、賃上げへの影響に不確実性＝日銀展望リポート全文

　８月１日、日銀は、７月３１日に概要を公表した「経済・物価情勢の展望（展望リポート）」の全文を公表した。写真は日銀の建物と日本の国旗。都内で２０２４年３月撮影（２０２５年　ロイター/Kim Kyung-Hoon）

Yoshifumi Takemoto

［東京　１日　ロイター］ - 日銀は１日、７月３１日に概要を公表した「経済・物価情勢の展望（展望リポート）」の全文を公表した。米関税引き上げによる輸出企業の採算悪化が賃上げに与える影響について「不確実性が高い」と懸念を表明している。

リポートでは「足元では製造業の一部には米関税引き上げによる輸出採算悪化の影響が生じているとみられる」とし、賃金動向について「先行きの所定外給与と（ボーナスなど）特別給与は、米国の関税引き上げの影響が強まるのに伴い、製造業を中心に下押し圧力強まっていく」と予想している。

このため、輸出採算悪化や海外経済の減速に伴う製造業大企業の収益減少が、人手不足を背景として足元の賃金上昇モメンタムに「どの程度の悪影響を及ぼすか、不確実性は高い」と指摘している。

一方、サービスの輸出に計上される訪日外国人旅行客（インバウンド）需要について、「現状程度の為替相場が続けば、堅調に推移する可能性が高い」との見通しを示した。