物価予想引き上げ、25年度+2.7% 見通し実現なら利上げ=日銀展望リポート

日銀は31日に発表した展望リポート(経済・物価情勢の展望)で、2025─27年度の物価見通しを引き上げた。写真は都内の日銀本店。1月23日撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Kentaro Sugiyama
[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日に発表した展望リポート(経済・物価情勢の展望)で、2025─27年度の物価見通しを引き上げた。金融政策運営について、経済と物価の見通しが実現していくとすれば引き続き政策金利を引き上げる方針を示した。
実質国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値は、25年度を前回のプラス0.5%からプラス0.6%に引き上げた。26年度はプラス0.7%、27年度はプラス1.0%で維持した。
消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の見通し中央値は、25年度がプラス2.2%からプラス2.7%に、26年度がプラス1.7%からプラス1.8%に、27年度はプラス1.9%からプラス2.0%に上方修正した。
より基調的な生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の見通し中央値は、25年度がプラス2.3%から2.8%に、26年度はプラス1.8%から1.9%に上方修正。27年度はプラス2.0%で維持した。
リスク要因はさまざまあるものの、特に各国の通商政策などの今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性について「高い状況が続いている」とし、前回の「極めて高い」から修正。金融・為替市場や日本経済・物価への影響については十分注視する必要があるとした。
リスクバランスは、経済の見通しについて「25年度と26年度は下振れリスクの方が大きい」とし、物価の見通しはおおむね上下にバランスしているとした。
日銀は金融政策の先行きについて、現在の実質金利が「極めて低い水準」にあることを踏まえると「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」とした。
もっとも、経済・物価の見通しが実現していくかについては不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、「内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要」と指摘した。
日銀は30─31日の決定会合で金融政策を据え置いた。7月1日に審議委員に就任した増一行氏は今回が初めての決定会合となった。