デンソー、通期予想を増収に修正 関税コストを価格に反映

デンソーは31日、2026年3月期の通期売上高予想(国際会計基準)を7兆0500億円から前年比0.5%増の7兆2000億円へ上方修正した。米国の関税措置による費用を価格に反映する。写真は愛知県刈谷市にある同社の本社。2020年1月撮影。提供写真(2025年 ロイター/Denso Corporation)
Maki Shiraki
[東京 31日 ロイター] - デンソーは31日、2026年3月期通期の売上高に相当する売上収益予想(国際会計基準)を従来の7兆0500億円から7兆2000億円へ上方修正した。米国の関税措置による費用を7─9月期以降、価格に反映する。期初に想定していた1.6%の減収から一転、0.5%の増収を見込む。
通期営業利益予想は従来の6750億円を据え置いた。IBESがまとめたアナリスト19人の予測平均値6287億円を上回った。
松井靖副社長は決算会見で、米国関税の通期への影響について、「保守的にみて1300億円」と想定していると明らかにした。その上で、「納税する原単位をもっと精査することで200億円くらいは下げられるともみている」と説明。例えば、「米国で作ることができるものは米国で作る、第三国を迂回している変な商流を止める」などして徹底的に圧縮すると述べた。
それでもどうしても残る関税分は「顧客と価格に転嫁する相談をしていく」という。顧客の自動車メーカーからは証拠書類を提出すれば前向きに相談に乗るといわれており、「価格転嫁の正の循環を回す」ことを自動車メーカーも理解してくれていると指摘。「現時点では(関税コストは)全額回収できるだろう」との見通しを示した。
同時に発表した25年4━6月期の連結業績は、売上収益が前年同期比横ばいの1兆7541億円、営業利益が同11.1%減の1072億円だった。関税の影響と取引先分を含む賃上げなどの人的投資がそれぞれ125億円ずつ押し下げたほか、部材費高騰や為替の影響も響いた。