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インタビュー:ECB、目標廃止し低インフレ受け入れる必要=シュタルク元専務理事

2017年11月07日(火)04時25分

11月6日、ECBの首席エコノミストを務めたユルゲン・シュタルク元専務理事は、ECBは現在のインフレ目標を廃止する必要があるとの考えを示した。写真は10月26日、フランクフルトのECB本部で撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ハーグ 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の首席エコノミストを務めたユルゲン・シュタルク元専務理事は6日、ECBは現在のインフレ目標を廃止する必要があるとの考えを示した。

シュタルク氏はロイターのインタビューに対し、ECBの超緩和策により、低インフレが経済上の脅威とならないなか、債券価格、株価、不動産価格が実際の経済情勢とはかけ離れた水準に上昇したと指摘。「ECBはインフレ率が将来的にこれまでに慣れ親しんだ水準より低くなる可能性があると認識する必要がある」とし、「そうすればECBが市場を歪め続けることもなくなる」と述べた。

そのうえで「低インフレは実際、ユーロ圏の経済成長を現在の水準に引き上げる一助となった」とし、「家計の可処分所得の増加につながり、減税に類似する効果があった」との認識を表明。

グローバリゼーションや技術革新により物価上昇が長期にわたり抑制される可能性もあるとし、その場合、狭いレンジのインフレ目標は一段の介入につながると指摘。「ECBが取り組んでいるようなインフレ率を微調整する能力を中央銀行は備えていない」とし、「市場経済を損なわないよう、低インフレを許容する必要がある」との考えを示した。

シュタルク氏は2011年に政策を巡る見解の相違から退任している。

ECBは現在インフレ目標を2%をやや下回る水準に設定。ただユーロ圏のインフレ率はこの目標を2013年初旬から下回っており、ECBスタッフ予想では達成は早くても2020年以降になるとの見通しが示されている。

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ロイター
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