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日産、新型リーフ航続距離400キロ 価格は旧型と同水準に   

2017年09月06日(水)18時41分

 9月6日、日産自動車は、電気自動車(EV)「リーフ」の新型車を初公開。写真は千葉で撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[千葉市 6日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>は6日、新型の電気自動車(EV)「リーフ」を初公開した。航続距離を旧型から約4割延ばすなど2010年の初代発売以来初めて全面改良した。国内では10月に発売。米国、カナダ、欧州では18年1月から納車を始める予定。中国でも18年か19年の投入を計画する。世界で年間9万台の販売を目指す。

世界各国の環境規制強化で追い風が吹くEV市場だが、米テスラが台頭するなど競争は激化。日産はリーフの性能を高め、自動運転機能も付加した上で、価格を旧型と同水準に抑えた。西川廣人社長は、リーフは「もはやニッチな車ではない」と指摘、EVを大衆化することで攻勢をかける構えだ。

同社長は20年―25年ごろには自動車産業が大規模にEVへ移行すると予想しており、市場を開拓してきた「先駆者としての自負がある。本格的なEVの時代にこぎ出したところで新型リーフを出すことができ、大いに気合いを入れている」と語った。

新型リーフの価格は約315万―399万円(旧型は約280万─456万円)。航続距離は400キロメートルと旧型の280キロから延ばした。米国基準では旧型の107マイルから150マイル(約240キロ)に延びたが、テスラの新車「モデル3」の220マイル(約354キロ)と比べると短い。

日産は長年集めたデータからユーザーの行動特性を分析。同社の坂本秀行副社長は、コスト、重量、価格などの点も考慮し、対象顧客にとって「一番バランスの良い」航続距離にしたと説明した。

日産は18年に上級タイプも追加する計画で、西川社長によると、容量60kWh、航続距離300マイル(約480キロ)以上になる見込み。ただし、航続距離は特定の国の基準に基づいて認証を受けたものではない。モデル3も310マイルの上級タイプ(価格4万4000ドル)を用意している。

今回発売する新型のバッテリーはオートモーティブエナジーサプライ製。容量は40kWh(旧型は24kWhと30kWh)。80%までの充電時間(急速充電)は約40分(旧型は約30分)。

高速道路の単一車線での自動運転技術と自動駐車機能も搭載。アクセルペダルの操作だけで発進、加減速、停止できる機能も加えて運転時の負担を軽減した。

テスラはこれまで1000万円超の高級EVを投入してきたが、モデル3は価格を3万5000ドル(約380万円)からに抑えた。米国で納車を始めた7月28日時点で受注は50万台を超え、リーフの累計販売約28万台を倍近く上回る。モデル3は受注に生産が追いつかず、今予約しても納入は早くて18年末の見通しで、日本での発売も19年以降になる。

*内容を追加しました。

(白木真紀 取材協力:田実直美 編集:田中志保)

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