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焦点:日米経済対話、本格始動はペンス氏来日後か 金融連携の指摘も

2017年02月13日(月)18時57分

 2月13日、日米首脳会談では、「自動車」「為替」「環太平洋連携協定(TPP)」などの各論に踏み込まず、日本政府サイドは安全保障関係での「満額回答」も踏まえ、上々のスタートを切ったと高評価が多い。ただ、新設の経済対話が本格稼働するのは、ペンス米副大統領(写真)の来日後になりそう。7日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[東京 13日 ロイター] - 日米首脳会談では、「自動車」「為替」「環太平洋連携協定(TPP)」などの各論に踏み込まず、日本政府サイドは安全保障関係での「満額回答」も踏まえ、上々のスタートを切ったと高評価が多い。ただ、新設の経済対話が本格稼働するのは、ペンス米副大統領の来日後になりそう。財政・金融などマクロ経済政策で日米連携の可能性を指摘する声もあり、対話の行方に不透明感も漂っている。

<経済対話、本格稼働は副大統領の来日後>

首脳会談前、日本政府が懸念していた「自動車」「為替」「TPP」の3分野ではいずれも踏み込んだ言及がなく、政府関係者の多くはホッと胸をなで下ろしたという。

また、北朝鮮のミサイル発射は「かえって強固な日米同盟を内外に発信できた」(政府関係者)との認識が政府内にある。

日米両政府は、麻生太郎副総理とペンス副大統領の下に新たに「経済対話」の場を設けることで合意し、今後は両氏のもとで協議を進める方針を共有。そこでマクロ、ミクロを含めた幅広い経済問題を討議。上記3分野などで日米の対立が先鋭化するのを避ける戦術が取られている。

ある政府関係者によると、ペンス副大統領の来日は今年4月ごろが念頭にあるとされ、それまでの間に新経済対話に参加する閣僚レベルのメンバーを決めることになるという。

ただ、米上院での閣僚承認が遅れており、経済対話における米側の主力メンバーが、どの組織を中心に選ばれるのか今のところ不透明。

このため新経済対話における本格的な議論は、ペンス副大統領の来日まで持ち越される公算が大きい。

別の政府関係者は「対話の枠組みを新設したことで具体的な議論を先送りし、対立の表面化を避けたという点で成功と言える」と指摘した。   

日本側が水面下で調整していた「日米成長雇用イニシアチブ」の柱立ては共同声明に明記されなかったが、今後の協議で活用される可能性もありそうだ。

<声明に盛り込まれた「金融」で異なる見方も>

一方、声明に盛り込まれた「相互補完的な財政、金融および構造政策」との文言を巡り、一部に広範な解釈も聞かれる。

複数の政府関係者は声明について、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明などを踏まえて「3つの政策を相互補完的に機能させる」ことと説明する。

もっとも、一部には「日米間で相互補完的に政策を実施する」との意味合いを含むと読み解く向きもある。

政府高官のひとりは「いろいろ相互にという意味だ」と述べ、金融政策を含めた日米連携を否定しなかった。

別の政府関係者は、米連邦準備理事会(FRB)と日銀の協調の可能性について「トランプ政権とFRBの関係性も不透明」とし、「方向性は現段階で見えない」と語った。

*カテゴリーを追加しました。

(竹本能文、伊藤純夫、梅川崇 編集:田巻一彦)

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