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タカタ依頼の第三者原因調査、最終報告まだ出ず 今夏から遅れ

2016年08月05日(金)21時00分

 8月5日、タカタは大量リコール(回収・無償修理)を起こした自社製エアバッグ部品の欠陥原因調査について、自社で依頼した第三者機関による最終報告がまだ出ていないことを明らかにした。写真は同社のロゴ。2015年5月撮影(2016年 ロイター/Rebecca Cook/File Photo)

[東京 5日 ロイター] - タカタ<7312.T>は5日、大量リコール(回収・無償修理)を起こした自社製エアバッグ部品の欠陥原因調査について、自社で依頼した第三者機関による最終報告がまだ出ていないことを明らかにした。いつ出るかは不明。今年5月の決算発表では今夏に最終報告が出る予定としていたが、遅れる見通しだ。

タカタ製エアバッグ部品のリコールをめぐっては、根本的な原因が特定されておらず、予防的措置として自動車メーカー各社がリコールを拡大させており、その費用を全額肩代わりしているが、リコール費用の分担割合や負担金額は原因調査の最終報告を根拠に協議することになっている。リコール対象は最大1億個、費用は1兆円規模に上る可能性がある。

タカタは独自に第三者による原因調査をドイツの研究機関フラウンホーファー協会に依頼し、同協会からの調査報告書を7月末に受け取った。これまでの同協会による調査経過報告では、不具合の原因は高温多湿の環境下で継続的に使用することなどが主な要因と分析しており、タカタ広報担当者は、新たな調査報告もこれまでとおおむね同じ内容で、「タカタや自動車メーカーの責任の所在を明示しているものではなかった」としている。

また、今回の調査報告は「最終報告ではない」と指摘。本来なら自動車メーカーとの「費用の分担割合のステージに移るはずだが、最終報告ではないため、その協議ができない」としている。タカタは現在、今回の調査報告の内容を自動車メーカー各社に個別に説明しているという。

タカタは今年秋ごろに同社への出資を伴うスポンサーと再建計画案を出す見通しも示していたが、ずれ込む可能性が出てきた。

原因究明調査に関しては、タカタ、最大顧客だったホンダ<7267.T>、日米欧の自動車メーカー10社のグループがそれぞれ独自に第三者機関に依頼して進めているほか、リコール数が最大かつ関連事故による死者が最も多い米国の当局も調査に取り組んでいる。

タカタ製のエアバッグ部品は高温多湿の環境に長時間さらされると異常破裂を起こす場合があり、関連したとみられる事故で少なくとも海外で14人が死亡、150人以上の負傷者が出ている。

*内容を追加しました。

(白木真紀、田実直美 編集:山川薫)

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