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ファーストリテ、16年8月期は21%営業増益計画 海外事業けん引
10月8日、ファーストリテイリング は、2016年8月期の連結営業利益(IFRS)が前年比21.6%増の2000億円になるとの見通しを発表した。都内で4月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)
[東京 8日 ロイター] - ファーストリテイリング <9983.T>は8日、2016年8月期(IFRS:国際会計基準)は2ケタの増収増益を継続するとの見通しを発表した。連結営業利益は前年比21.6%増の2000億円を計画。積極的に拡大している海外ユニクロ事業がけん引し、営業最高益を更新する見込み。
トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト20人の営業利益予測の平均値は2280億円となっている。
連結売上収益は同13%増の1兆9000億円を計画。年間配当は20円増配して、年370円を予定している。
一方、15年8月期の営業利益は1644億円となり、計画の2000億円を大きく下回った。6―8月期の不振で国内ユニクロが100億円下振れたほか、JBrandなどで減損を計上した。
<海外ユニクロ、店舗数で国内を逆転>
16年8月期も積極的な出店を続ける海外ユニクロ事業がけん引する。期末には、海外ユニクロが958店舗、国内が846店舗(フランチャイズを含む)となり、海外進出16年目で海外の店舗数が国内を逆転する。
海外ユニクロ事業は、グレーターチャイナ(中国・台湾・香港)で約100店舗、韓国約20店舗など計175店舗の新規出店(純増160店舗)を計画。国内は40店舗(純増5店舗)にとどまる。一方、ジーユーを含むグローバルブランド事業は80店舗の新規出店(純増50店舗)を計画している。
柳井正会長兼社長は会見で「海外ユニクロの高い成長を維持し、世界ナンバーワンのブランドにする」と述べた。
海外ユニクロの中で赤字が続いている米国事業については、黒字転換に向けて「全社を挙げて事業をサポートする」。年間の出店を抑制し、ブランドが浸透していない郊外ではなく、大都市の好立地に大型店・旗艦店を出店。同時に、Eコマースを拡大させ、16年8月期には赤字幅を大幅に改善させる計画。
ECは、米国だけでなく、全世界的に取り組んでいく。現在、売上高の約5%に過ぎないEC比率は「世の中の動きによるが、10年以内には30―50%にいく。最も早ければ3―5年。非常に短い時間で劇的に変わる」とした。同社は異業種と組み、ECを含む新しいサービスを生み出そうとしている。
また、経済減速が不安視されている中国での事業については「全く影響はない。中国経済が生産中心、輸出中心から内需中心に変わる。消費財を主にした企業にとってはすごく大きな市場だ」と述べた。
<国内、客数減は「仕方ない」>
国内ユニクロの既存店売上高は4.0%増で4期連続の増加を狙う。今期の最初の月となる9月の国内ユニクロ既存店売上高は2.6%増でスタート。値上げに伴い、客単価が上昇している。
一方で、客数は2月以降8カ月連続で前年比減少している。柳井社長は「客数の減少は仕方ない。1ドル80円が120円になり、円が34%減価した。必要最小限の値上げは、品質維持するには仕方ない」と述べた。
さらには「節約モード。ラグジュアリーの一部は売れているが、消費は決して良くない。消費経済は停滞、ないしは縮小している」と、消費に厳しい見方を示した。
<15年8月期は計画未達>
15年8月期は、2000億円の営業利益計画に対して1644億円と未達に終わった。
国内ユニクロで6―8月期の粗利益率が計画を大きく下回った。天候不順で夏物販売が苦戦し、値引き販売を増加させたためだという。気温が上昇した後は、コア商品が欠品となったことも影響。国内ユニクロで約100億円の下振れ要因となったほか、米国店舗、JBrandやシステム関連の減損など161億円を計上した。*内容を追加しました。
(清水律子 編集:内田慎一)