ニュース速報

ビジネス

欧州がギリシャ融資再開へ、財政改革法案可決で

2015年07月17日(金)08時06分

 7月16日、ユーログループはギリシャと新たな支援について交渉を始めることで原則合意した。写真はデイセルブルム議長。ブリュッセルで13日撮影(2015年 ロイター/Francois Lenoir)

[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)は16日、ギリシャ議会が財政改革法案を可決したことを受け、同国への融資再開に向けて動き出した。

ECBはこの日、ギリシャの銀行向けの緊急流動性支援(ELA)枠を9億ユーロ引き上げた。ただ、ギリシャの銀行は営業を再開する20日の取り付け騒ぎを避けるため、資本規制は継続する必要がある。

EU加盟国の財務相らはギリシャが次回支援交渉に入るまで70億ユーロ(76億ドル)のつなぎ融資に欧州金融安定メカニズム(EFSM)を活用することで一致した。これにより、20日が期限のECBが保有するギリシャ国債の償還が可能になり、遅れている国際通貨基金(IMF)への返済もまかなわれる。

これらの融資は、ドイツ議会が新たな対ギリシャ支援交渉の開始を承認した場合、17日に最終決定される。

また、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、ギリシャ議会が財政改革法案を可決したことを受け、同国と新たな支援について交渉を始めることで原則的に合意した。

ユーログループは声明で「各国の関連手続き終了を条件に、ギリシャに3年間の欧州安定メカニズム(ESM)支援を行うことで原則的に合意した」と述べた。さらにギリシャに対し、第2弾の改革案を今月22日までに承認し、これまでに承認した改革案に関連する法律を改正するよう要求した。

一方、ドイツのショイブレ財務相は独ラジオ局ドイチェラントフンクに対し、ギリシャとの金融支援交渉開始を承認するよう議会に要請するとしながらも、ギリシャが一時的にユーロ圏を離脱する方が適切との考えを示した。

同相は「膨れ上がったギリシャの資金ニーズに対し、新たな支援プログラムが可能か、交渉で見えてくるだろう」と述べた。IMFはギリシャ債務は大幅な軽減が必要と主張しているが、ドイツはこれに否定的な見解を示している。

政府関係者によると、ギリシャのチプラス首相は財政改革法案の議会採決で与党幹部が造反したことについて、党内の混乱を露呈したと認めつつも、当面は金融支援確保に専念する意向。ただ、ギリシャのブーチス内務相は、「状況次第で」総選挙を9月か10月に実施する可能性があるとの考えを示している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中