ニュース速報
ビジネス
欧州がギリシャ融資再開へ、財政改革法案可決で

7月16日、ユーログループはギリシャと新たな支援について交渉を始めることで原則合意した。写真はデイセルブルム議長。ブリュッセルで13日撮影(2015年 ロイター/Francois Lenoir)
[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)は16日、ギリシャ議会が財政改革法案を可決したことを受け、同国への融資再開に向けて動き出した。
ECBはこの日、ギリシャの銀行向けの緊急流動性支援(ELA)枠を9億ユーロ引き上げた。ただ、ギリシャの銀行は営業を再開する20日の取り付け騒ぎを避けるため、資本規制は継続する必要がある。
EU加盟国の財務相らはギリシャが次回支援交渉に入るまで70億ユーロ(76億ドル)のつなぎ融資に欧州金融安定メカニズム(EFSM)を活用することで一致した。これにより、20日が期限のECBが保有するギリシャ国債の償還が可能になり、遅れている国際通貨基金(IMF)への返済もまかなわれる。
これらの融資は、ドイツ議会が新たな対ギリシャ支援交渉の開始を承認した場合、17日に最終決定される。
また、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、ギリシャ議会が財政改革法案を可決したことを受け、同国と新たな支援について交渉を始めることで原則的に合意した。
ユーログループは声明で「各国の関連手続き終了を条件に、ギリシャに3年間の欧州安定メカニズム(ESM)支援を行うことで原則的に合意した」と述べた。さらにギリシャに対し、第2弾の改革案を今月22日までに承認し、これまでに承認した改革案に関連する法律を改正するよう要求した。
一方、ドイツのショイブレ財務相は独ラジオ局ドイチェラントフンクに対し、ギリシャとの金融支援交渉開始を承認するよう議会に要請するとしながらも、ギリシャが一時的にユーロ圏を離脱する方が適切との考えを示した。
同相は「膨れ上がったギリシャの資金ニーズに対し、新たな支援プログラムが可能か、交渉で見えてくるだろう」と述べた。IMFはギリシャ債務は大幅な軽減が必要と主張しているが、ドイツはこれに否定的な見解を示している。
政府関係者によると、ギリシャのチプラス首相は財政改革法案の議会採決で与党幹部が造反したことについて、党内の混乱を露呈したと認めつつも、当面は金融支援確保に専念する意向。ただ、ギリシャのブーチス内務相は、「状況次第で」総選挙を9月か10月に実施する可能性があるとの考えを示している。
*内容を追加しました。