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焦点:ギリシャ処遇で困惑するEU、除名は法制度の想定外
6月30日、ギリシャ政府が結果を尊重すると表明している国民投票が終わるまでは、ギリシャを法律面と資金面でどう扱うかを議論するにはあまりにも政治情勢が混沌とし過ぎている。アテネで18日撮影(2015年 ロイター/Yannis Behrakis)
[ブリュッセル 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)のユンケル委員長はギリシャに対して、新たな支援の枠組み拒否はユーロを捨て去る道だと警告してきた。これに対してギリシャのバルファキス財務相は、同国はユーロ圏から離脱するつもりはないし、無理には排除もできないと主張する。
こうしたまったくかみ合わない議論があぶり出しているのは、EUの法制度が抱える問題であり、次にどんな事態が起きるのかだれもはっきりした答えを持ち合わせていない。
ギリシャ国内ではユーロ圏とEUにとどまりたいというのが多数意見で、ユーロ導入を決めた条約やEU加盟国の合意において除名に関する条項は存在しない、と同国政府が指摘しているのは正しい。
2009年に発効したEU条約でようやく離脱が想定されるようになったとはいえ、あくまでも加盟国が自主的に申し出た場合に限られる。
今問題になっているのは、加盟国がルールを破った場合にどうなるかだが、そうしたルール違反の事実認定すら一筋縄ではいかなない状況といえる。
欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は29日、ギリシャのユーロ圏離脱について、特に7月5日の国民投票で債権団の改革案が否決された場合はあり得る事態だとの見方を示した。
ECBが少なくとも国民投票までは何ら対応を打たずにギリシャのユーロ調達が支障をきたす事態が突如訪れかねないとの見方もある中で、ギリシャは資本規制を導入して当面の金融安定性を保とうとしている。ただし現在の局面が続けば、とりわけECBが保有するギリシャ国債が償還を迎える7月20日以降は、ユーロ圏の各機関がギリシャにユーロを供給し続けるのは一段と困難になるかもしれない。
<すべては国民投票後か>
EU当局者はかねてから、こうした状況になればギリシャ政府は財政支払いのためにIOU(借用証書)など現金に代わる手段を用いざるを得なくなる可能性があると話している。
これらの支払い手段はユーロ建てではあるものの、受け取っても使うのは難しく、現金よりもずっと価値が低い。
そのためギリシャ政府の取引相手がユーロでの支払いを求めて訴訟を起こしかねず、最終的には新ドラクマといった自国通貨に回帰する事態もあり得る。この場合でもギリシャは形式上はユーロ圏に残ることはできる。
それでもギリシャ政府は、別の通貨を望んでいないと明言している。
他のユーロ圏加盟国もギリシャの離脱は希望していない。投資家の間でユーロ解体の思惑が再燃する懸念からだけでなく、ギリシャ向け債権の価値が大きく目減りしてしまうこともその理由だ。
ギリシャ政府はユーロ圏にとどまると一環して主張し、同国の除名画策の試みには法的手段で対抗する姿勢を示唆している。
一部の法律専門家は、ユーロの調達を止めようとする動きに対してさえもギリシャは異議を申し立てる可能性があると話す。
いずれにしてもギリシャ政府が結果を尊重すると表明している国民投票が終わるまでは、ギリシャを法律面と資金面でどう扱うかを議論するにはあまりにも政治情勢が混沌とし過ぎている。
法律専門家の間では既にギリシャの処遇をめぐる問題の解決方法を模索する動きが出てきたが、ギリシャ政府と債権団の5カ月にわたる交渉で生まれた相互不信感を考えれば、そう簡単に協調をもたらす収拾策が打ち出されはしないだろう。
少なくともユーロ圏の一部加盟国の当局者はギリシャの姿勢に怒りをあらわにしており、非公式の場ではEUの法律条項に存在しなくとも同国に除名をちらつかせる必要はある、と漏らしている。
(Alastair Macdonald記者)





