コラム

アメリカ版文化大革命? トランプのエリート大学たたきは独裁への道

2025年04月24日(木)17時30分

アメリカを傑出した国にしてきた要素が崩れる

トランプ政権はハーバード大学に対して、教員の採用と留学生の入学許可に関して連邦政府の監督を受け入れること、キャンパスで許容される言論活動の内容について政権の基準に従うことなどを要求。同大学は政権の要求を拒否し、以下のような声明を発表した。「本学が独立性と憲法上の権利を放棄することはない......現政権やほかのいかなる政権の法的権限を越えた要求を受け入れるつもりはない」

当然、トランプも黙っていない。助成金の停止に加えて、連邦政府の税務当局に対し、ハーバード大学の免税資格の剥奪を指示した。大統領が税務当局に対して、特定の団体や個人の査察や調査を指示することは違法だが、トランプやその部下たちはお構いなしだ。


もし、トランプがアメリカの大学を屈服させれば、アメリカが学術研究、テクノロジー、富と経済力、軍事力の面で傑出した国であることを可能にしてきた主要な要素の1つが崩れることになる。アメリカという国の卓越性は、少なくとも6つの要素が互いに絡み合うことにより実現してきた。

その6つの要素とは、①独立性があり、協働すると同時に競い合う研究機関、②強固な「法の支配」、③自由な市場と潤沢な投資、④制約のない研究開発への政府の強力な支援、⑤生産活動とイノベーションを支えることのできる傑出したインフラ、そして⑥あらゆる分野のあらゆる考え方を持った俊英たちを全世界から受け入れることに極めて前向きな文化──である。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story