コラム

『中共壮大之謎』(中国共産党が強大化した謎)――歴史を捏造しているのは誰か?

2016年09月12日(月)16時00分

謝幼田氏の拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に対する評価

 筆者は拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』の執筆に入る前に謝幼田氏とお会いした。掘り起こした史実があまりに一致しているので、共著の形を取りたいと申し込むためだ。

 ところが謝幼田氏は共著を強く拒絶なさり、「自分がこれまで発掘できなかった日本側の資料を独自に発掘してくれて、自分がその資料なしに展開してきた論理が正しかったことを裏付けてくれるのなら、こんなに嬉しいことはない。むしろ独立に出版してくれることに価値がある」と言ってくれた。そして最後に、

「抗日戦争中の中国共産党の真相を研究している者たちに、あなたが発掘してくれた日本側証拠が、どれほど大きな勇気を与えてくれるか、その価値は計り知れない。心ある研究者はみな、あなたに感謝するだろう」

 と激励してくれたのである。

 9月20日にアメリカのワシントンDCにおけるNational Press Club(国家記者クラブ)で筆者の講演のコメントをして下さる辛こう年(Xin Haonian)氏も同様の激励を贈ってくれた。

 中国政府高官でさえ「誰かがいつかは書かなければならなかった真相だ」と筆者を元気づけてくれたほどである。それはおそらく、8月31日付の本コラム「人民が党の真相を知ったら、政府を転覆させるだろう――1979年、胡耀邦元総書記」に書いた事実を知っているからだろう。上層部は実は筆者と共通する、これら一連の真相を知っているものと推測される。

 ノーベル平和賞を受賞して投獄されている劉暁波氏も、日中戦争中の毛沢東と中共軍の動きに関して謝幼田氏や筆者と同じことを言っている。そのことは2015年12月3日の本コラム<ノーベル平和賞の劉暁波氏が書いた「中共による抗日戦争史の偽造」>で明らかにした通りだ。

在日中国人学者の拙著に対する酷評

 それに対して、9月8日にBSフジ・プライムニュースで特集された「毛沢東と現代中国の"闇"」に出演した在日中国人学者の、拙著に対する攻撃は尋常ではなかった(前半は穏やかだったのだが、後半部分から)。それは中国政府が「立場」として反論してくるであろう内容とほぼ一致しており、拙著の価値を必死で否定する個人攻撃までしてくる姿勢には驚いた。

プロフィール

遠藤誉

中国共産党の虚構を暴く近著『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)がアメリカで認められ、ワシントンDCのナショナル・プレス・クラブに招聘され講演を行う。
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ニューヨーク州司法長官を起訴、金融詐欺の疑い ト

ワールド

米、アルゼンチンペソ直接購入 200億ドルの通貨ス

ビジネス

NY外為市場=円下げ止まらず、一時153.23円 

ワールド

台湾総統、双十節演説で「台湾ドーム」構想発表へ 防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 3
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 4
    50代女性の睡眠時間を奪うのは高校生の子どもの弁当…
  • 5
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 6
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 7
    史上最大級の航空ミステリー、太平洋上で消息を絶っ…
  • 8
    米、ガザ戦争などの財政負担が300億ドルを突破──突出…
  • 9
    底知れぬエジプトの「可能性」を日本が引き出す理由─…
  • 10
    【クイズ】イタリアではない?...世界で最も「ニンニ…
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story