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少子化対策

月1000円で住める「1万ウォン住宅」が韓国でブーム 出生率0.75の危機への処方箋なるか

2025年3月9日(日)13時10分
佐々木和義

家賃補助や家賃減免といった支援も

江原道は家賃補助を導入した。対象は道内に6ヵ月以上居住し1年以内に結婚した新婚夫婦で、所得に応じて年60万〜144万ウォンを3年間支給する。

ソウル市と全羅北道は家賃減免だ。ソウル市は指定住宅のチョンセ保証金を相場の半額に減免する。最長居住期間は10年で、子供が産まれたら20年まで延長可能、2人以上出産すると20年後に割引価格で購入できる。結婚7年以内の夫婦と6か月以内に結婚予定のカップルが対象だ。全羅北道は新婚夫婦500世帯の家賃を子供の出産前は半額減免、出産後は全額減免する。人口減少地域11市·郡から候補地を選定し、将来的に4000戸を供給したい考えだ。


 

仁川市は計画が遅れに遅れている。24年7月、結婚7年以内の新婚夫婦を対象に1日千ウォン、1カ月3万ウォンで賃貸する「千ウォン住宅」計画を発表した。仁川都市公社が所有する賃貸住宅500戸と市が住宅オーナーとチョンセ契約を結んで転貸する住宅500戸の計1000戸を供給する計画で24年10月に募集を開始し、25年1月から入居が始まる計画だったが、手続きに時間がかかり半年遅れの今月6日、まずは仁川都市公社が保有する住宅500戸分の入居希望者を募集を開始した。

「無料住宅」も登場、一方では課題も

こうした「1万ウォン住宅」などの動きが広がるなか、釜山市は「賃貸住宅無料供給」を打ち出した。釜山に居住する新婚夫婦の家賃を無料にする破格の施策で契約期間は7年だが、子供を1人出産すると20年まで延長可能、2人産むと生涯無償で居住できる。今年中に1000世帯、2030年までに1万世帯を供給する計画だ。

このように韓国各地で広がる「1万ウォン住宅」などの住宅政策だが、課題も指摘されている。銅雀区は最長4年、和順郡と仁川市は最長6年で全羅南道は10年だ。入居中に出産すると子供の教育費を考える頃に支援が終わる。ソウル市も入居中に出産した子の大学進学と住宅支援の終了が同時期になる。

それを考えると一連の政策は問題の根本的解決になっていないことは明らかだ。「1万ウォン住宅」の少子化対策としての効果は不明だが、何もしないより良いということなのだろう。

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