最新記事
トランプ関税

「通商交渉の責任者は自分」トランプの陣頭指揮で米通商政策はカオスに

2024年12月17日(火)22時04分
エドワード・オルデン(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト、米外交問題評議会上級研究員)
トランプ

トランプという不確実性にどう備えたらいいのか  REUTERS/Brian Snyder TPX IMAGES OF THE DAY

<自由主義か保護主義かではない。争点はどのような保護主義かだ>

ドナルド・トランプが2000年の米大統領選への出馬を模索していたとき、政権構想を記した書籍がある。通商政策の章は、こんな言葉で始まっていた──「私自身を通商交渉の責任者に任命する」。

11月の大統領選で大統領への返り咲きを決めたトランプは、1月20日に始まる2期目の政権でこの言葉を実質的に実行に移すつもりらしい。


大方の予想を裏切り、トランプは今回、政権1期目で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザーに要職を与えず、経験の乏しい人物をUSTR代表に指名。経済政策部門の上層部は、筋金入りの保護貿易主義者と自由貿易重視派の混成チームで構成することにした。

この人事を見る限り、通商政策ではトランプが陣頭指揮を執ることになりそうだ。

政権2期目の通商政策をめぐる焦点は、自由貿易か保護主義かではない。自由貿易派は既に発言力を失っている。問われるのは、どのような保護主義が実践されるのかだ。

トランプは早くも、1月20日の就任初日にメキシコおよびカナダからの「全ての輸入品」に25%の関税を課す方針を表明。そのすぐ後には、ブラジル、ロシア、インド、中国などのBRICS諸国が共通通貨を新たに設けるなど、国際貿易の決済でドル離れを進めるのであれば、100%の関税を課すとも述べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ

ビジネス

中国、ハードテクノロジー投資のVCファンド設立=国

ワールド

金・銀が最高値、地政学リスクや米利下げ観測で プラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中