最新記事
ウクライナ侵攻

迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に

A NARROW ESCAPE

2024年10月11日(金)09時28分
小峯弘四郎(フォトジャーナリスト)

newsweekjp20241010030753-c4f3735962f068ecc331de5278ca6e07e9b5f49c.jpg

ヘルニャックから避難した高齢女性を支える PHOTOGRAPHS BY KOSHIRO KOMINE

避難をしてきた数人に声をかけたが、何も話すことはないと断られ、やっと一人の高齢女性が重い口を開いてくれた。

「ロシア兵の偵察隊が来て、私たちを地下の避難所に閉じ込めた。3歳と2歳の子供を含む21人がいた。入り口をマットレスで塞いで2日間閉じ込めた。民間人だと言って外に出してくれるよう頼んだが、彼らは機関銃を私たちに向け、ひざまずくように言った」


「その後ロシア兵が手榴弾を投げ込み、爆発してマットレスや薪が燃えた。私はどうやって外に出たのか分からない。そこにいた人のうち生き残ったのは6人だけ。皆、煙で窒息死した」

「私は家の玄関に座っていた。家は破壊されてしまい何もなかったから......。そのうちボランティアの人たちがやって来て、私の荷物を車に積んでここまで連れてきてくれた」

ウクラインスクは9月24日頃、ロシア軍に完全制圧された。

9月9日、さらに南部のヘルニャックへボランティアと共に向かった。ロシア軍が村の北部に侵入しているが救出活動が続いており、近くのクラコバという町を経由してポクロフスク市内へと避難させていた。

クラコバの町は前線から近い所で3キロ、遠い所で12キロ離れているが、ウクライナ軍が砲撃をしている場所で、その反撃を受け町中が破壊されていた。

取材時も、ウクライナ軍の砲撃音がひたすら続き、そのうちロシア軍の反撃があり、町のどこかに着弾をする、の繰り返しだった。へルニャックから救出された人々を待つ待機場所近くにも着弾し、大きな音と振動で建物に避難をする。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU、ロシア産LNG禁輸を1年前倒しへ 制裁第19

ワールド

EU、ロシア産LNG禁輸を1年前倒しへ 制裁第19

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズに1350億円を追加出

ワールド

ウクライナ、新たなIMF融資模索 現行融資は27年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中