最新記事
中東

イスラエル、ヨルダン川西岸で大規模作戦 10人死亡

2024年8月29日(木)10時37分
ジェニンで道路を走行するイスラエル軍車両

8月28日、パレスチナ保健当局は、ヨルダン川西岸のジェニン、トゥルカルム、トゥバスでイスラエル軍の大規模な攻撃があり、少なくとも9人が死亡したと発表した。画像は28日、ジェニンで道路を走行するイスラエル軍車両。ソーシャルメディアに掲載された映像から。提供画像(2024年 ロイター/Social Media)

イスラエルは28日、ヨルダン川西岸に対する大規模な軍事作戦を実行した。イスラエル軍は民間人に対する「差し迫った脅威」があったとし、兵士数百人とヘリコプターやドローン(無人機)などを投入して作戦を実施。パレスチナ保健当局によると、少なくとも10人のパレスチナ人が死亡した。

今回のヨルダン川西岸での作戦はここ数カ月で最大級。パレスチナ保健当局によるとジェニン、トゥルカルム、トゥバスでイスラエル軍の大規模な攻撃があった。

イスラエル軍報道官は、過去1年間でトゥルカルムとジェニンから銃撃や爆発を伴う攻撃が150件以上発生したとし、今回の作戦はここ数カ月の過激派活動の急増を受けて実行したと説明。民間人に対する「差し迫った脅威」があったと見なし、攻撃の阻止を目的とした広範な戦略の一環として今回の作戦を実行したと述べた。

その上で「この地域におけるテロの脅威は新しいものではない。昨日始まったものでもなく、明日終わるわけでもない」と語った。

大規模作戦に先立ち、イスラエル軍はトゥルカルムで26日に殺害したパレスチナ人戦闘員5人の氏名を公表。2人はイスラム組織ハマス、3人はハマスと共闘するイスラム聖戦がそれぞれの戦闘員だったと確認した。

イスラエルによる大規模作戦実施に伴い、イスラム聖戦とパレスチナ解放機構(PLO)の主要勢力ファタハはそれぞれ声明を出し、ヨルダン川西岸地区の3つの地域でイスラエル軍の車両に対して爆弾攻撃をしていると明らかにいていた。

イスラエルがパレスチナ自治区ガザでハマスとの戦闘を続ける中、イラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラとの緊張も高まっており、今回のヨルダン川西岸での大規模作戦を受け、イスラエルが多方面で直面する複数の安全保障上の脅威が浮き彫りになった。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ロシア国営宇宙企業トップ、スターリンクの対抗事業開

ワールド

EUは26年末までにロシア産原油輸入停止を、ポーラ

ワールド

米銃撃事件で警官3人死亡・2人重傷、ペンシルベニア

ビジネス

日経平均は史上最高値を更新、足元は達成感から上げ幅
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中