最新記事
韓国政治

窮地の与党が頼るのは、全羅道育ちの「青い目の韓国人」医師...若手造反を食い止める「特効薬」になるのか?

To Heal Ruling Party Rifts

2023年11月14日(火)12時55分
イ・ウヌ(ジャーナリスト)

231121P34_KAN_02.jpg

尹大統領(右)と「国民の力」の李前代表(2022年6月10日) YONHAP NEWS/AFLO

彼はさらに「国民の怒り」をかき立てている要因を挙げた。

尹が知人を政府の要職に任命する前に審査をしなかったこと、海兵隊員を死なせたとして軍幹部を起訴しようとした大佐に軍が汚名を着せたこと、韓国の反植民地主義の遺産を犠牲にして保守的なイデオロギーを推進するために政権が歴史を歪曲したこと、教育や科学の問題に対する政府の軽率な方策などだ。

李は言及しなかったが、悲劇的な梨泰院(イテウォン)の雑踏事故に対する政府のお粗末で無慈悲な対応や、報道の自由に対する抑圧も国民の疲弊に拍車をかけている。

「尹大統領の国民の力は失敗だ」と李は明言した。

李は最近、新党を結成したいと公言している。それは国民の力にとって最悪のシナリオだ。李が新党を設立して、24年の総選挙で国民の力と競うことになれば、保守票が分裂し、既に議会の多数を占めている共に民主党の地滑り的勝利が予想される。

李の新党は中道右派に接近し、共に民主党の穏健派議員や同党の李在明(イ・ジェミョン)代表に失望した有権者を取り込む可能性もある。その場合も、李の支持層が離れることで最も不利益を被るのは国民の力だ。

李に送ったラブコール

国民の力は今、差し迫った状況にあり、李に和解を申し出る役を引き受けたのが印だ。11月2日、印は李の党員資格停止処分を取り消し、「先生」として政治的な教えを請いたいと李にラブコールを送った。

印が李を国民の力に呼び戻そうとしていることは、党が李の処分を後悔していることの表れだ。ただ、党幹部はそうした働きかけはしておらず、「友好の精神は尊重されるべきだ」と述べるにとどまっている。

一方の李は、党に対して懐疑的だ。11月4日、釜山で開かれた李主催の懇親会に印がサプライズで登場すると、李は印の韓国人らしからぬ外見から、英語で彼に話し始めた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の

ワールド

IS、豪銃乱射事件「誇りの源」と投稿 犯行声明は出

ビジネス

ECB、成長率とインフレ率見通し一部上方修正=スタ

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中