最新記事
日本社会

日本全国の空き家の数は、25年後には1000万軒を超える

2023年9月13日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
空き家イメージ

空き家の増加問題は特に地方で深刻化する Purdue9394/iStock.

<地方での増加は特に深刻で、全住宅の3割から4割が空き家になる地域も>

日本が人口減少の局面に入って久しい。ここ数年、毎年60万人弱人口が減っている。これは鳥取県の人口よりも多い数だ。これが70万人、80万人となり、やがては毎年人口が100万人減る時代となる。これはいかんともしがたい現実で、「縮む」ことを前提とした社会設計をしなければならない。

重要となるのは、空き家の活用だ。人は減っても、ハコは残る。2013年の空き家は819万5600、2018年は848万8600(総務省『住宅土地統計』)。5年間で1.036倍に増えた。この倍率を適用すると、5年後の2023年は879万2075と見積もられ、さらに5年間隔で推し量っていくと2048年には1048万0161となる。2013年から2018年の増加ペースが続くとした場合、この頃には空き家の数が1000万を越える。同じやり方で推測した住宅総数に占める割合は14.1%だ。

地方では空き家の割合はもっと高くなる。<表1>は、鹿児島県の予測結果だ。2013年から2018年の増加倍率を掛けて、5年後の住宅総数と空き家数を推し量っている。分母と分子が今のペースで増えると仮定した場合、どうなるかだ。

data230913-chart01.png

直線的な変化を仮定しただけのシンプルな試算だが、これによると2048年の鹿児島県の住宅数は97万2999、うち空き家は35万4649と見込まれる。空き家の割合は36.4%だ。

県内の住宅の3分の1が空き家。にわかに信じ難いが、実際はもっと高くなるのではないか。人口減少のなか、今と同じペースで住宅が増えるとは考えにくい(減少に転じる可能性もある)。対して分子の空家数は、これから亡くなる人が増えるので増加のスピードが速まると考えられる。四半世紀後の鹿児島県では、住宅の半分近くが空き家になっているかもしれない。

座談会
「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府機関の一部閉鎖始まる、党派対立でつなぎ予算不

ビジネス

日産が「エクステラ」復活と売れ筋2車種の強化検討、

ワールド

G7財務相、ロシアへの圧力強める姿勢を共有=加藤財

ビジネス

米ADP民間雇用、9月ー3.2万人で予想に反し減少
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」してしまったインコの動画にSNSは「爆笑の嵐」
  • 3
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引き締まった二の腕を手に入れる方法
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 8
    通勤費が高すぎて...「棺桶のような場所」で寝泊まり…
  • 9
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 10
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 7
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 8
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中