最新記事
日韓関係

韓国ユン大統領、独立記念日で演説「日本は普遍的価値共有するパートナー、北朝鮮の核ミサイル情報のリアルタイム共有が必要」

2023年8月15日(火)12時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国の尹錫悦大統領

写真はソウルでの代表撮影(2023年/ロイター)

<首脳同士のシャトル外交を進めるなか、安全保障での協力を目指す>

日本にとって終戦記念日の8月15日は、韓国では植民地支配からの独立を祝う「光復節」として祝日になっている。

第78周年光復節記念式に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、演説の中で日本について「私たちと普遍的価値を共有して共同の利益を追求するパートナー」と語り、さらに「北朝鮮の核・ミサイルの脅威を遮断するためには、韓米日3カ国間の緊密な偵察協力と北朝鮮の核ミサイル情報のリアルタイム共有が行われなければならない」と安全保障面での関係も強調した。MBC、KBSなど韓国メディアが速報した。

 
 
 
 

ユン大統領は15日午前、梨花(イファ)女子大学の大講堂で「偉大な国民、自由に向けた旅」をテーマに開かれた第78周年光復節に出席。祝辞の中で、「長く前自由を求めて出発した旅は、これからも止まらず継続されなければならないだろう」と語った。

ユン大統領は独立運動が「自由民主主義国家のための建国運動だった」と定義し、「独立運動の精神が世界における中心的国家としてのビジョンにつながっている」と意義付けした。

日韓は世界の平和と繁栄のためにともに貢献できるパートナー

日本についてユン大統領は「日本はもう私たちと普遍的価値を共有して共同の利益を追求するパートナー」「韓日両国は、安保と経済の協力パートナーとして未来志向的に協力・交流していくことで、世界の平和と繁栄のためにともに貢献できるだろう」と語った。

また、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応する韓米日の協力が重要だとして、「3日後、キャンプ・デービッドで開催される韓米日首脳会議は、朝鮮半島とインド太平洋地域の平和と繁栄に寄与する3カ国協力の新たな転機となること」と述べた。

さらに「北朝鮮の核・ミサイルの脅威を遮断するためには、韓米日3カ国の緊密な偵察協力と北朝鮮の核ミサイル情報のリアルタイム共有が行われなければならない」「日本が国連軍司令部に提供する7カ所の後方基地の役割は、北朝鮮の南侵を遮断する最大の抑制要因だ」と日韓の安全保障面での協力が必要だと強調した。

一方で、昨年の光復節の演説で明らかにした北朝鮮政策である"大胆な構想"を「揺らぐことなく進める」「北朝鮮政権が対話と協力の道に進んで、北朝鮮住民の生活を改善できるように国際社会と協力していく」として、金正恩政権へ対話の門戸を開いていることも付け加えた。

国内での政治問題

また、北朝鮮に関連して国内の左派勢力への牽制とも見られる発言が注目された。

ユン大統領は「共産主義を盲従し、操作、煽動と世論を歪曲して社会を撹乱する反国家勢力が依然として大手を振るっている」と指摘して、「自由民主主義と共産主義が対決した分断の現実で、反国家勢力の出没は簡単に消えないだろう」「共産主義勢力はいつも民主化運動活動家、人権運動家、進歩主義行動家に偽装して、虚偽の扇動とあさましい反倫理的な工作を日常的にやってきた」「決してこのような共産主義勢力、その盲従勢力、追随勢力に騙されたり、屈服してはならない」と強調した。

民主派に偽装した共産主義勢力について具体的に誰なのかは言及しなかったが、最近さまざまなトラブルが露呈した世界スカウトジャンボリーをめぐって前政権と当時の政権与党だった共に民主党に向けた表現として受け止められるもので、政界での攻防が更に高まることが予想される。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国CATL、第2四半期純利益は34%増

ビジネス

クアルコムの見通し楽観的、アップル向け販売巡る懸念

ワールド

中国政府、育児支援給金向けに900億元の当初予算確

ワールド

トランプ氏、ブラジルに計50%関税 航空機やエネル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中