最新記事
米司法

米最高裁、バイデンの学費ローン免除は無効と判断 米経済にも逆風、景気減速を前倒しか

2023年7月1日(土)12時01分
ロイター
バイデン大統領

米最高裁がバイデン政権が掲げていた大学学費ローンの返済一部免除策は無効との判断を示したことを受け、年後半とみられていた景気減速が前倒しされる可能性が出てきた。写真は2022年10月、ホワイトハウスで学費ローン免除について話すバイデン大統領(2023年 ロイター//Leah Millis)

米最高裁が30日、バイデン政権が掲げていた大学学費ローンの返済一部免除策は無効との判断を示したことを受け、年後半とみられていた景気減速が前倒しされる可能性が出てきた。5000億ドル近いローンの返済負担が再び家計に重くのしかかるためだ。

米家計が抱える教育ローンの総額は総額1兆6000億ドル。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)期間中はローン返済が一時猶予されていたため、約3年ぶりにローン返済が再開されることとなる。

先にニューヨーク連銀が行った調査によると、バイデン政権の返済免除策は約4400億ドルのローンが対象となっており、学生ローン利用者の40%が負債を免除されるはずだった。

エコノミストらは、学生ローンの返済再開は個人消費に大きな影響を与えると予想している。ただ、それがどの程度深刻なものになるかについては見解が分かれている。

ジェフリーズの米国エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、返済が再開されればすぐにでも、個人消費にかなり大きな影響が出ると予想。「これが景気を後退させる転換点になるとみている」と警告した。

一方、モルガン・スタンレーのエコノミストは、年末数カ月の経済成長に、小幅ながら目に見える形で影響を与えると予測している。ジェフリーズとは異なり、米国の景気後退はないとみているが、個人消費が打撃を受け、国内総生産(GDP)成長率を6─9ベーシスポイント(bp)を押し下げる可能性が高いとの見方だ。

モルガン・スタンレーは、毎月支払う金利額は一般的に200─300ドルであり、これは対象となる人の可処分所得が返済猶予が維持されていた場合と比較して毎年0.3─0.5%減少する可能性が高いことを意味すると指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、レバノンにヒズボラ武装解除要請 失敗な

ワールド

AIを国際公共財に、習氏が国際機関構想アピール A

ワールド

トランプ氏、エヌビディアの最先端半導体「中国など他

ビジネス

サハリン2のLNG調達は代替可能、JERAなどの幹
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中