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デモ隊に放水銃の攻撃、ジョージア「ロシアそっくり法案」はなぜ今だったのか

Georgians Lean West

2023年3月13日(月)19時30分
エイミー・マッキノン(フォーリン・ポリシー誌記者)

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「ソ連には絶対に戻らない」というメッセージを掲げる市民(首都トビリシで) IRAKLI GEDENIDZE-REUTERS

この法案が提出されたタイミングについては、いくつかの解釈がある。

ISFEDのドリゼは、ジョージアの夢が権力基盤を固め、反対意見を抹殺しようとしている可能性を指摘する。ジョージアでは来年の議会選挙で、比例代表制が導入される。そうなれば、いずれかの党が単独過半数を獲得するのは難しくなる。

一方、ジョージアの夢は、ロシアの息がかかっており、実のところジョージアのEU加盟を阻止しようとしているのではないかと、TIジョージアのギガウリは推定する(同党は表向きはEU加盟推進を掲げている)。

EUは2022年、ウクライナとモルドバについては加盟候補国の地位を与えたが、ジョージアは法の支配やメディアの独立、司法の独立についてさらなる改革が必要だとして、認定を見送った。

今回の法案についても、EUの外相に当たるジョセップ・ボレル上級代表は7日、「EUの価値観や基準と相いれない」と改めて強調した。米国務省のネッド・プライス報道官も、言論の自由と民主主義にダメージを与える恐れがあるとの見方を示していた。

ジョージアの市民団体のリーダーたちも同じ考えだ。

「この国と、この国の民主主義の質が懸かっている」とギガウリは語る。

「この国の今後の行方にも影響を与える。現時点で、正しい方向に向かっていないことは確かだ」

From Foreign Policy Magazine

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